研究課題/領域番号 |
20K11596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 富山大学 (2021-2022) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (2020) |
研究代表者 |
赤木 一考 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 特命助教 (30794424)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 老化 / 食餌制限 / ショウジョウバエ / アミノ酸トランスポーター |
研究開始時の研究の概要 |
食餌制限(Dietary restriction: DR)は、霊長類を含む様々な生物において寿命延伸効果が確認されている。しかしながら、組織レベルにおけるDRの作用機構は、未だに不明な部分が多い。 申請者は、ショウジョウバエ腸管において、複数の膜貫通型トランスポーターの発現がDR特異的に上昇することを見出した。さらに、その中から、グルタミン酸トランスポーターが寿命の制御に重要であることを示唆する結果を得た。そこで本研究は、腸管のグルタミン酸トランスポーターの役割に注目し、栄養吸収の観点から食餌制限の作用機序を理解することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、寿命延伸効果が知られている食餌制限の作用機序について、腸管グルタミン酸トランスポーターの役割に注目し解析を進めている。これまでの解析から、グルタミン酸トランスポーターであるdmGlutとEAAT1の発現が、食餌制限下の腸管において顕著に上昇することが明らかになった。また、それぞれの遺伝子を腸管特異的にノックダウンすると、食餌制限による寿命延伸効果が減弱することを示した。本年度は、脂質代謝およびグルタミン代謝の観点から研究を行った。そして、腸管特異的dmGlutノックダウン個体の脂肪体において、食餌制限下で脂肪滴の蓄積異常が起きることを示唆する結果を得た。また、グルタミンをグルタミン酸へ変換する酵素であるGLSの発現レベルを調べた結果、食餌制限下で腸管での発現が低下する一方で、脂肪体では発現レベルが上昇することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までに、腸管におけるdmGlutとEAAT1の役割が食餌制限による寿命延伸効果に必要であることが明らかになった。近年、dmGlutが脂質代謝に関わることが報告された(Zhao and Karpac, Cell Metabolism, 2021)ため、本年度は脂質代謝およびグルタミン代謝に注目し解析を行った。まず、腸管特異的dmGlutノックダウン個体の脂肪体において脂肪滴を染色したところ、食餌制限下で脂肪滴の蓄積異常が起きることを示唆する結果を得た。このことから、グルタミン代謝を介して腸管と脂肪体に相互作用があることが示唆された。また、グルタミン代謝の第一ステップであるグルタミンからグルタミン酸への変換を担うGLSの発現をqRT-PCR法で調べた結果、GLSは食餌制限下で腸管での発現が低下し、脂肪体では発現レベルが上昇することがわかった。また、脂肪体におけるEAAT1の発現が、食餌制限下で顕著に減少することが明らかになった。したがって次年度は、グルタミン代謝を介した腸管と脂肪体の相互作用に注目して解析し、論文化を目指す。
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今後の研究の推進方策 |
腸管特異的にdmGlutおよびEAAT1をノックダウンあるいは強制発現した個体の脂肪体において脂肪滴染色を行う。さらに、同様の個体を用いて飢餓耐性実験、中性脂肪量および体液中脂肪量の定量を行う。これらにより、腸管と脂肪体の相互作用について調べる。さらに、GLSの発現を腸管および脂肪体で遺伝学的に操作し、脂質代謝や寿命への影響を明らかにする。
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