研究課題/領域番号 |
20K11692
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 佑輔 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (40581591)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 組合せ最適化 / アルゴリズム / 多項式時間 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,組合せ最適化問題に対する多面体的手法を高度化させることを目的とする.特に,「拡張定式化の利用」,「複数の多面体の利用」の2 点に注目する.まず,既存アルゴリズムを解析することにより,どのような性質を持つ問題に対してこれらの高度化手法が有効なのかを明らかにする.そして,高度化させた手法を用いて,今までに多項式時間アルゴリズムの知られていなかった問題に対して初の多項式時間アルゴリズムを与えることを目指す.
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研究実績の概要 |
本研究計画は組合せ最適化における多面体的アルゴリズムの高度化を目的とするものであり,特に,「拡張定式化の利用」,「複数の多面体の利用」の2点に注目している.2023年度の主要な成果として,Dudycz & Paluch (2018) によって提案された最適一般化マッチング問題のアルゴリズムの抽象化が挙げられる.Dudycz & Paluch によるアルゴリズムは,多面体的なマッチングアルゴリズムを繰り返し適用するものであり,「複数の多面体を利用するアルゴリズム」と言える.本研究では,同様のアルゴリズムがより抽象化された問題へ適用できることを示し,アルゴリズムを適用するために必要な問題の本質を離散構造の視点から解明した.これは,複数の多面体を利用して多面体アルゴリズムを高度化する成果であると言える.この研究成果は組合せ最適化および整数計画問題の主要国際会議である Conference on Integer Programming and Combinatorial Optimization (IPCO 2023) に採択された. その他の重要な成果として,最小2辺連結部分グラフ問題に対する近似アルゴリズムの設計が挙げられる.提案アルゴリズムは現在最良の近似比を与えるものであり,三角形を含まない2マッチングを求める問題を利用している.マッチングアルゴリズムを拡張する形で三角形を含まない2マッチングを求めるアルゴリズムが提案されているため,本成果は多面体的アルゴリズムの高度化が近似アルゴリズムの設計にも有用であることを示しているといえる.この成果は,アルゴリズム理論の主要国際会議である International Symposium on Algorithms and Computation (ISAAC 2023) に採択された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度までの研究では,ある種の組合せ最適化問題に対して,指数本の制約を持つ拡張定式化を利用した多項式時間アルゴリズムを設計している.これは「拡張定式化を利用して多面体的アルゴリズムを高度化する成果」であると言える.また,2023年度の研究では「複数の多面体を利用したアルゴリズム」の適用範囲を解明しており,研究計画はおおむね順調に進展していると評価できる.また,研究成果は理論計算機科学やオペレーションズリサーチの主要会議,主要論文に採録されており,研究成果の客観的な国際的評価の高さを示すものであるといえる.ただし,新型コロナや航空券価格高騰の影響もあり,海外での研究発表や,世界的にトップレベルの研究者との情報交換や議論の機会はは想定していたよりも少ない.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度から引き続き,指数本の制約を持つ拡張定式化を利用した多項式時間アルゴリズムを他の組合せ最適化問題に適用することを試み,「拡張定式化を利用した高度化」の適用範囲を拡大することを目指す.また,最適一般化マッチング問題の別方向の一般化である,制約充足問題に対して複数の多面体を利用したアプローチの適用可能性を探る.
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