研究課題/領域番号 |
20K11716
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
篠崎 智大 東京理科大学, 工学部情報工学科, 講師 (60644482)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 統計的因果推論 / 個別化医療 / 動的治療レジメン / 臨床試験 / セミパラメトリック推測 / 臨床試験デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
医療ビッグデータの基盤整備と医療費削減に対する社会的要請を背景に、より効果の大きな患者に治療を限定する「個別化医療」への期待が高まっている。しかし、日常診療では、いったん開始した治療を患者個人にどう適応させて継続・修正するのかも実際的な「個別化医療」の問題である。本研究は「統計的因果推論」の理論を軸として、データ取得の方法(臨床試験デザイン)と解析手法から後者の要請に応えるものであり、個別化医療の文脈で高いエビデンス供出力を維持しながら、研究対象人数・コスト面で実施可能性の高い研究方法の普及を目指す。
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研究実績の概要 |
医学研究や医療政策における「個別化医療」のひとつの実践方策として、治療に応じて変化するバイオマーカーの値や、治療へのレスポンスに基づいて適応的に治療方針(regimen, レジメン)を選択する「動的な治療レジメン」の効果を定義・推測する方法論について研究を行った。このためのアプローチには因果モデルを用いた統計的因果推論の方法論が欠かせない。 本年度の研究では、経時変化する曝露効果の推定におけるg-計算アルゴリズムにおいて操作変数を調整してしまうことに伴うバイアス増幅に関する原著論文(Inoue, Goto, Kondo and Shinozaki, BMC Medical Research Methodology 2022)、臨床試験とリアルワールドデータを架橋する方法論についての短報(Uemura, Shinozaki, Nomura and Shibata, Statistics in Biopharmaceutical Research 2023)、因果推論に機械学習を応用する手法と応用事例の平易な解説(井上・篠崎,医学のあゆみ 2022)を公表した。また学会活動としては,統計関連学会連合大会の日本計量生物学会シンポジウムにおける「標的学習の基礎」,ヘルスデータサイエンス学会第1回学術集会のシンポジウム(統計的因果推論の基礎と最前線)における「因果媒介分析」と題する招待講演を行った。これらの講演内容は,田栗・篠崎(計量生物学,査読中)および篠崎(臨床評価,印刷中)として出版予定である。 いずれも研究を進める上で得られた重要な知見にもとづく内容であり、これらの手法を前提とした研究デザイン、特に多段階にわたるランダム化比較試験デザインを開発することを最終年度の目的としている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題に関する方法論研究として、今年度は1報の原著論文(Inoue, Goto, Kondo and Shinozaki, BMC Medical Research Methodology 2022)、1報の短報(Uemura, Shinozaki, Nomura and Shibata, Statistics in Biopharmaceutical Research 2023)に加え、いくつかの招待講演や和文誌における解説・総説論文の投稿を終えてはいるものの、2022年度はCOVID-19によって物理的な学会参加が難しく、最新の研究に関する情報収集や他大学・他国の研究者との議論・交流が制限された。さらに、学内補職をはじめ学務多忙による研究時間確保の困難は構造的に研究進捗に影響しており、自身が筆頭で論文を著すことができなかった要因である。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」に記載した通り、共同研究者(方法論研究者、臨床医、疫学研究者)との方法論研究は比較的順調に進んでいる。一方で、自身の主導する手法研究については未だ煮詰め切れておらず論文化できる水準まで進んでいないテーマもある。主に執筆時間の確保がボトルネックになっているため、最終年度は研究アウトプットのエフォート時間の確保と時間内の作業効率化を工夫することで研究成果の発信を心掛けたい。 データ解析業務で関わっている臨床研究や臨床試験のサブ解析で、研究課題に関連する解析手法を適用できる機会が増えつつある。これは、方法論の研究遂行上も好ましい状況である。理論的・数値実験的な手法の検討に加えて、現実の臨床的課題や医学データに根差した研究論文の作成を目指している。
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