研究課題/領域番号 |
20K11740
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
更田 裕司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30587423)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | ニューラルネットワーク / 機械学習 / 深層学習 / 音声認識 / キーワードスポッティング / 常微分方程式 / 低消費電力 / 集積回路 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、深層学習を核とした人口知能の技術革新は目覚ましい。現在、深層学習の処理は計算能力の高いクラウド側で実行される事が多いが、遅延時間やセキュリティなどの観点から端末側で処理を行うことが期待されている。しかし、バッテリー駆動のような電力の制約が厳しい端末で深層学習の処理を常時実行しようとすると、従来技術より一桁以上エネルギー効率を高める必要がある。そこで本研究課題では、深層学習で従来用いられる計算原理とは全く異なる、常微分方程式に基づく技術を採用し、それを全てアナログ回路で実装した超低消費電力の深層学習専用LSIチップを開発する。
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研究成果の概要 |
① キーワードスポッティング(事前に定義したキーワードを入力音声から検出)を対象として、常微分方程式に基づくアルゴリズム(Neural ODE)を適用する手法を新たに開発し、ネットワークのパラメータ数を68%削減可能である事を示した。 ② キーワードスポッティングをハードウェアで実行する為、従来は入力されたアナログ音声信号をデジタルに変換し、特徴量を抽出するデジタル信号処理を行っていた。しかしこれには、デジタル変換の電力が大きいという課題があった。そこで本研究では、アナログ信号のまま演算を実行しデジタル変換を除去する回路技術を開発し、特徴量抽出に必要な電力を88%削減できることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、バッテリー駆動のような電力制約が厳しい端末での常時深層学習処理を実現する為、低消費電力の(エネルギー効率の高い)集積回路技術の開発を目的としている。これまで、本研究で使用される常微分方程式に基づく深層学習アルゴリズム(Neural ODE)とエネルギー効率の関係について検討はなされておらず、本研究で示したNeural ODEがエネルギー効率向上に有効であることは学術的に意義深いと考える。さらに、エネルギー効率を高める為にアナログ回路を活用した演算回路技術を提案し、その有効性について実際にCMOSチップを製造し検証した点は、実用化に向けた重要な一歩であり、社会的な意義も高いと考える。
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