研究課題/領域番号 |
20K11790
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宋 天 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (10380130)
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研究分担者 |
島本 隆 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (20170962)
片山 貴文 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (70848522)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | VVC / Blockchain / 自動運転 / 画像認識 / ブロックチェーン |
研究開始時の研究の概要 |
車両単体が複雑多様な環境を正しく認識するため、様々な定置センサーを活用した情報共有システムが有効である。従って、最先端の情報、通信技術を総合的に利用し、自動運転の実現に向けた新たなフレームワークの開発が急務となる。本研究は、5G環境における自動運転を支援するための高安全性フレームワークを提案し、信号機に装備した高機能イメージセンサーを用いた画像解析システムを開発し、自動運転車両を支援する。
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研究実績の概要 |
本研究は、次世代の自動運転の実用化に向け、5G環境における自動運転を支援するための高安全性フレームワークを提案し、信号機に装備した高機能イメージセンサーを用いた画像解析システムを開発し、自動運転車両を支援する。 実績としては、ブロックチェーンの導入や、その導入に関するセキュリティ関連の問題は解決した。また、認識用のシステムを構築し、様々なシミュレーションを行なった。コロナー禍のなかで交差点でのデータ採取がなかなか実現できなかったため、遷移学習の導入により性能の向上を検証する作業ができなかった。研究室で実施できる内容を検討し、交差点に設置した複数のカメラ間の認識性能の補完手法を開発し、高い認識性能を実現した。提案手法と他の提案を比べても優れている手法を採用し、他の良い手法も取り入れることを考えている。画像圧縮に関しては、VVCを用いて交差点映像の背景不変性と昼夜映像の特徴を利用した手法を考案した。この手法は圧縮効率の向上だけでなく、昼間と夜間の映像の特徴を捉えた手法を提案できたため、この手法を認識性能の補完にも期待できる。 交差点映像に特化したデータセットを作成し、交差点の映像に対して、走行車両、歩行者、歩道、道路を高速かつ高性能なセグマンテーションを実現した。 また、国際会議に参加する機会が少なかったが、研究成果を研究論文にまとめ、複数発表した。特に、IEEE Internet of Things Journal、IEEE Communications Surveys and Tutorialsに掲載された論文が、この研究で得られた成果をまとめ、その新規性と有効性が高く評価された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね当時の予定通りに実施してきたが、遅れている部分もある。ブロックチェーンの導入や、その導入に関するセキュリティ関連の問題を解決した。特に交差点における画像認識性能について今年で色々検討することができたため、画像認識手法の提案について順調に進めることができた。 遷移学習の性能を検証するために実データの採取が必要になるが、学生の登校制限や、戸外作業の不便により、予定していたデータ収集作業は少ししか進められなかったため、主に研究室での研究を行なってきた。豊富なアイディアから新しいアルゴリズムの検討を続けながら、この分野の新しい提案を吸収し優れたアルゴリズムを検証している。 提案システムにおける情報通信では、複数のチャンネルにおけるリアルタイムの動画像通信を保証する必要がある。5Gの環境では、通信速度が著しく高速になるが、膨大な動画像コンテンツを交差点に設置した基地局と付近の車両に転送する必要があり、その映像の保存、転送、解析のすべてが高圧縮率の映像符号化技術に頼る。本研究で考案したシステムには、次世代の動画像符号化標準VVCをベースに、過去の研究成果を踏まえ、高い圧縮効率を実現した。 また、異なるカメラ間の連携処理を実現するために、同一車両に対しての検出率を大幅に向上させる手法を提案した。令和5年度は、残りの作業としてさらにデータ採取を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、可能な限りデータ採取作業を行う予定である。交差点に定置しているカメラを使用し、対象となる人物や車両の認識精度が不足している原因を分析した結果により、目標オブジェクトの深度情報の推定精度を向上する。特に、映像のみでは天候の変化に弱く、正しく認識できない場合が多い。本研究の先行研究では、遷移学習を用いて各種天候条件の画像を適切に学習することにより、認識性能を大幅に向上した。しかし、距離の遠いオブジェクトに対する認識精度が改善されなかった。本研究が想定したカメラは交差点に定置しているため、背景となる固定物が多く存在している。背景となるオブジェクトの位置と距離を先に推定し、車両と歩行者と背景の相対距離を推定することにより、距離の推定精度を向上できる。 提案システムにブロックチェーンの導入によりセキュリティを確保できたが、動画像データの全てに対してHash演算処理を行い、膨大な演算量が必要となる。本研究は、安全性能を確保しながら、一部のフレームのみに対してHash演算を行うことにより演算量を大幅削減する。具体的に、動画像の中にIフレーム(画面間予測を行わないフレーム)のみに対しHash演算を行うが、そのIフレームが固有の統計情報より導いた結果から次の対象フレームを決定するアルゴリズムを提案する。 また、現在の2カメラ体制で撮影をしてきたが、4台に増やしてさらに精度を上げる可能性を検証する。状況が許す限り、5G環境での実証も確認したい。
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