研究課題/領域番号 |
20K11912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 福岡工業大学 |
研究代表者 |
家永 貴史 福岡工業大学, 情報工学部, 准教授 (00393439)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 静電誘引形インクジェット / 嗅覚ディスプレイ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,新しい嗅覚提示装置を実現するために,基礎データの取得を行いながら,装置の制御方法を明らかにしようというものです.具体的には,ノズルに電圧をかけてインクを飛翔させる静電誘引形インクジェットの技術を応用し,インクの濃淡のように匂いのもととなる物質(要素臭)の濃度を変化させて噴射させるものになります.これができるようになれば,これまで以上に豊かな嗅覚情報の提示ができるようになる可能性がありますが,どういう要素臭に対し,どういった電圧をかければ良いかなどわからない点が多いため,実際に装置を作ったうえで,これらを明らかにしていこうというものです.
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研究実績の概要 |
本研究は,静電誘引形インクジェット技術を用いた嗅覚ディスプレイの実現に向けた基礎データの獲得と装置の制御技術の確立を目的としている.特に,嗅覚情報の元(要素臭)となる精油などの物質を,静電誘引形インクジェットを用いて飛翔させるための条件について明らかにすることを目指している. 今年度は,静電誘引形インクジェット装置の仕組みを応用した嗅覚ディスプレイ装置を完成させた上で,静電誘引形インクジェットを用いて飛翔させ,基礎データを取得することを計画していた. 当初の計画よりも研究の進捗が遅れていることをふまえ,効率良く実験データを取得できるように,インクジェット装置の改良を試みた.具体的には,実験条件や装置のパラメータの変更を容易にできるように,制御装置のハードウェア及びソフトウェアの再設計とその仕様変更に伴う実装を行った. また,静電誘引形インクジェットを嗅覚ディスプレイとして利用する場合,精油をどういったもので希釈するのが適切かという知見はこれまでにない.そのため,それを実験的に確認することも本研究の狙いの一つとしている.一方で,静電誘引形インクジェットでは,装置の構成上,印加電圧とノズル・対向電極の距離などの条件によっては,放電現象によって火花が発生することがある.そのため,希釈液として高濃度エタノールなどを利用した場合に,火災等につながる可能性がある.そこで,放電の前駆現象を検出し,電圧印加を停止する保護回路を新たに装置に組み込むことを構想し,検出回路を設計,実装を試みた. 以上の観点から装置の改良を行ったものの,残念ながら現状では完成に至っていない.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
装置のパラメータ変更を容易にするために,ハードウェアとソフトウェアの見直しを行った結果,装置が複雑化し,安定動作させるに至らなかった.また,ノイズ対策という点でも課題が残っている.さらに,放電の前駆現象の検出回路についても,期待される動作には至っていない.以上のように,新規の機能追加を含む改良を試みた装置は完成に至らなかった.そのため,研究期間を1年間延長することを申請した.
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今後の研究の推進方策 |
研究の加速化を狙った改良がうまくいかず,結果的に研究の進捗がさらに遅れた反省をふまえ,今後の研究の進め方としては,装置の多機能化は一旦中断し,できるだけシンプルな構成に戻すとともに,放電対策の保護回路の組み込みについても一旦見送る.これに伴い,希釈液についても,高濃度のエタノールなど,引火性が高いものについては候補から一旦外す.その上で,外部への成果発表につなげられるように,基礎データを地道に取得することを最優先していく.
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