研究課題/領域番号 |
20K12074
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62020:ウェブ情報学およびサービス情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
古川 宏 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90311597)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 歩行者ナビゲーション / 高齢者 / 個人適応 / 心情推定 / 高度道路交通システム / スマートシティ |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者向けの安心・快適な歩行者ナビの実現のため、階段、人込み、専用歩道、公園などに対する身体的困難さ、安心感、嗜好に配慮した経路の探索手法を開発している。良し悪しの心情(評価値)は個人ごとに大きく異なるため、個々のユーザに適したモデルを構築する必要がある。そこで、個々の歩行履歴に基づいて各ユーザの評価を推定する手法と、この推定評価値に基づいて、各ユーザに適した専用モデルを作成(調整)する手法を開発する。この実現により、ユーザは評価作業をさほど意識せずに、より自分にあった経路提供のサービスを受けることが可能となる。
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研究実績の概要 |
高齢者のQOL向上に役立つ歩行者ナビの実現に向け、経路上の環境要因に対する身体的困難さ、心的脆弱性、安心感、嗜好を定量的に考慮したモデルを用いた経路探索法を開発している。本研究の目的は、多様な個人差への対応を課題として、1)“各ユーザの環境要因に対する主観的評価”の推定手法と、2)“環境要因に対する主観的評価”に基づく個別コストモデルの適応的調整法の開発である。 本年度は、「C.個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」に取り組んだ。本研究は、「コストモデル調整機構の構築」および「プロトタイプシステムを用いた長期利用実験による評価と改善」からなる。 前者では、提供経路に対する利用者の評価により個々に特化したコストモデルへと調整する機構を設計した。 コストモデルの調整機構では、取得した各ユーザの情報を用いて身体的負荷、安心感、嗜好などの各評価関数のパラメータを変更することで、個人適応を実現している。 後者では、まず設計した調整機構の実現可能性と問題点の確認を行うため、歩行後の経路因子評価を用いたモデルの個別適応手法を組み込んだプロトタイプによる短期的な利用実験を実施した。高齢者に未調整のモデルを用いて策定した経路と、個別適応を実施したモデルを用いて策定した経路を歩行してもらい、各経路に対する歩きやすさ、快適さ、危険度を観点とした評価を報告してもらった。結果、状況によって、経路に対する参加者の評価の改善を確認できた。これは、経路要因に対するユーザの嗜好評価に基づくユーザ適応手法の実現可能性を示している。一方で、参加者からの評価が下がる経路もあり、更新パラメータの調整が必要と捉えている。今後は、機構の改善、更新パラメータの最適化、より多くの評価データの利用により、個人に合わせた精度の高い経路計画手法の実現を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度実施した「C.個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」は、当初予定ではR3度に実施予定であった。この予定変更は、R2年度に実施した「A.“各ユーザの環境要因に対する主観的評価値”の推定手法の開発」において、COVID-19のリスクを考慮し、主目標である高齢者を実験参加者とする要素研究を次年度に延期したことによる。 さらに、C.における「プロトタイプシステムを用いた長期利用実験による評価と改善」の実施においても、COVID-19への対応に配慮した実験計画とするため、R4年度は短期的な利用実験を、R5年度は長期的な利用実験を実施する形と変更を行った。なお、補助事業期間の延長を申請し、R5年度も継続する形で承認されている。
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今後の研究の推進方策 |
1.「C.個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」(R5全期): 「プロトタイプシステムを用いた長期利用実験による評価と改善」:R4年度に実施した短期的な高齢者歩行実験の結果に基づき、コストモデル調整機構の改善に取り組む。本年度は、改善した機構を組み込んだプロトタイプシステムを用いて、高齢実験参加者による長期の日常利用実験を実施する。長期にわたる利用において、主観評価推定機構、主観評価用インタフェース、歩行挙動情報の取得法、避難時情報の取得方策、モデル調整ルール等の評価と改善を行う。 2.「D.実用システムに必要となる基本仕様の策定」(R5後期):提案手法の実用において、システムに備えるべき機能及び仕様を明確にする。利用者に安心で快適なナビ支援サービスの提供を実現するため、提案システムの構築過程で生じた技術的課題、実験参加者による利用の観測結果、および実験参加者による主観的評価結果から、現在の最新機材の能力・制約を考慮することで、実用システムに要求される技術的要件や解決すべき技術課題を確認し、基本となる仕様の策定を行う。
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