研究課題/領域番号 |
20K12137
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
大石 善隆 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (80578138)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コケ植物 / 生物指標 / 窒素降下物 / 窒素循環 / 越境大気汚染 / 森林生態系 / 気候変動 / 高山帯 / 高層湿原 / 亜高山帯 / 窒素汚染 / 生態系 / 日本 / モニタリング |
研究開始時の研究の概要 |
急速なアジアの発展に伴って近隣諸国から日本へ飛来する汚染物質が増加している。なかでも、窒素を含む化合物(窒素降下物)は植生を変化させ、生態系へ深刻な影響を与えるとされる。 コケ植物は窒素降下物の影響を特に受けやすいことが知られており、さらに、窒素降下物を効率よく吸収することから、生態系の窒素循環を理解するためのカギの一つともされる。 しかし、コケの窒素汚染の増大に対する応答や、その窒息蓄積機能の変化については未解明の部分が多い。 そこで、本研究ではこれらの課題を明らかにすることで、窒素汚染が生態系に及ぼす影響について考察を深める。
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研究成果の概要 |
コケは亜高山帯や高層湿原において重要な窒素プール機能を担っていることを明らかにした。また、コケは倒木の窒素含有量を上昇させることでその分解を促進し、森林の窒素循環にも影響していることも解明した。しかし、一部の生態系ではコケの衰退を招くレベルの窒素汚染が生じており、今後の動向に注視する必要がある。さらに、気候変動に伴う環境の変化がコケの窒素負荷の増加への応答を複雑にする可能性も示唆された。この一連の研究成果はコケを介して窒素負荷が生態系に与える影響の評価に大きく貢献すると期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
土壌を介して窒素分をえる維管束植物と異なり、コケは大気降下物に含まれる窒素分を直接、吸収する。そのため、本研究成果で明らかにしたコケの窒素プールとしての機能や窒素循環に果たす役割は生態系における窒素の動態を理解するうえで重要な成果となる。 また、コケは窒素汚染に敏感に反応するため、優れた指標生物としても利用されている。この指標性から、本研究で解明した窒素負荷に対するコケの応答は、窒素汚染に対する生態系の初期応答の解明や、生態系のモニタリングにも応用できる。今後、気候変動の影響で生態系が大きく変わると予想されており、コケを利用した生態系のモニタリングはより重要になると期待される。
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