研究課題/領域番号 |
20K12147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
國頭 恭 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (90304659)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 土壌 / リン / 有機物分解 / 土壌酵素 / 窒素沈着 / 黒ボク土 / 褐色森林土 / 窒素添加 / 可給態リン / 植物リター / 土壌有機物 |
研究開始時の研究の概要 |
窒素流入によって微生物分解が抑制されるメカニズムとして、リグニン分解酵素活性の低下と微生物バイオマスの減少とが提唱されている。申請者は、両メカニズムの寄与度が土壌間で異なることに着目し、その差異がリン・アルミニウム・マンガンの利用性によって規定されるという仮説を立てた。本研究では、野外から採取した多様な土壌を用いた室内培養実験により、これら元素の利用性と、窒素添加に対するリグニン分解酵素活性および微生物バイオマスの応答との関連を調査する。本研究によってこの仮説が証明できれば、森林生態系の炭素貯留量に対して窒素流入が与える影響を予測するうえで、有用な知見となる。
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研究成果の概要 |
本研究では、森林生態系への窒素流入にともなう相対的なリン利用性の低下により、競争力の劣るリグニン分解菌のリン制限が顕在化し、リグニン分解酵素活性が低下して土壌有機物分解が抑制されるという仮説を検証した。可給態リン濃度は、いずれの土壌でも窒素添加区の方が対照区よりも高値を示した。また窒素添加によりリグニン分解酵素活性が低下する土壌も存在したが、逆に活性が高まる土壌も見られた。このため、窒素添加によりリン利用性は低下しないものの、別の機序によりリグニン分解酵素活性が低下する土壌が存在することが示唆された。また全ての土壌で窒素添加によりリグニン分解酵素活性が低下するわけではないことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人為起源の過剰な窒素の流入により土壌有機物分解が抑制され、森林生態系の炭素貯留量が増加し、地球システムにおける炭素循環にも影響が及ぶ可能性が指摘されている。窒素流入によって微生物分解が抑制されるメカニズムとして、リグニン分解酵素活性の低下と微生物バイオマスの減少とが提唱されている。本研究では、リン利用性の低下と土壌酸性化以外の機序により、窒素流入によりリグニン分解酵素活性が低下する土壌が存在することが示唆された。また今後予想される窒素流入量では、対象とした全ての土壌において窒素流入が有機物分解に与える影響は小さい可能性が示唆された。
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