研究課題/領域番号 |
20K12201
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63040:環境影響評価関連
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研究機関 | 独立行政法人国立科学博物館 |
研究代表者 |
辻 彰洋 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (40356267)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Pseudanabaena / Cyanobacteria / 2-MIB / ジオスミン / 藍藻 / プセウドアナベナ属 / カビ臭 / geosmin / Microcoleus / シアノバクテリア / プセウドアナベナ / Geosmin |
研究開始時の研究の概要 |
シアノバクテリアが産生するカビ臭物質は、魚介類や上水道の異臭味被害・水域の景観障害を引き起こすが、分類学的検討の不足が、被害を防ぐ有効な解決策を発見することを妨げている可能性がある。本研究課題では出現種の把握(培養株を用いた形態分類・系統学的検討と、長鎖対応第三世代シークエンサーを用いた環境DNA解析)と種検出方法の開発(網羅的捜索で得られた遺伝子情報を元に、定量PCRと長鎖環境DNA解析の両方法での検討を実施)の両面から研究を進める。
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研究実績の概要 |
霞ヶ浦・琵琶湖・小川原湖・十和田湖を含む日本各地の淡水湖沼からシアノバクテリアを中心に微細藻株を網羅的に分離培養し、それぞれについて、16S rRNAを用いた分子同定と顕微鏡による形態観察を組み合わせて同定を行った。また、これまでの分類学的な研究で分離培養してきたシアノバクテリア株(Dolichospermum属等)について、カビ臭(2-MIB 2-メチルイソボルネオール, ジオスミン)および毒性の関連遺伝子の網羅的探索を行うための抽出作業を開始した。 また、2-MIBとGeosminを共に産生する特徴的な種として私たちが2019年に新種発表したシアノバクテリアのMicrocoleus pseudautumnalis Niiyama et Tuji 2019について、NanoporeとMiseqを用いた全ゲノム解析を行い5.5Mbpの完全長環状ゲノムを取得した。2-MIBを産生するPseudanabaenaについても、昨年に追加してさらに2株について完全長環状ゲノムを取得した。2-MIBの産生に関わる4遺伝子(cnb-a, mtf, mic, cnbB)からなるクラスターの構造は既存のものと同一であった。 霞ヶ浦や琵琶湖などの湖沼で近年出現しているプランクトン珪藻のFragilaria longifusiformis ssp. eurofusiformisとFragilaria saxoplanctonicaについて分類学的検討を進め、正式に新産報告した。また、培養株を確立し、遺伝子解析を行った。両種については、カビ臭および毒性の問題はないと考えられたが、上水処理における凝集阻害については、今後の研究が必要である。 近年のシアノバクテリアに関わる分類学的な変更点について整理し、日本の淡水域にプランクトンとして生息するシアノバクテリアのチェックリスト(HP:浮遊性藍藻データベース)を更新した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍のため、出張による採集予定が大幅に遅れており、今年度作成した培養株のほとんどは定期的に試水を提供して頂いた霞ヶ浦と琵琶湖からのものである。 遺伝子解析については、NGSによる全ゲノム解析はほぼ予定通りであるが、論文化が遅れている。カビ臭および毒性の関連遺伝子の探索作業はコロナ禍による作業補助者の勤務の減少により遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
カビ臭及び毒物の産生遺伝子の解析については、Specific primerを新たに設計すると共に、抽出方法を再検討し、作業が円滑に進むようにした。 採集については、今年度の夏期に全国から集中的に行う予定である。 今年度は調査研究を中心に行い、来年度に論文化を中心に作業を行うようにする。
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