研究課題/領域番号 |
20K12209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64010:環境負荷およびリスク評価管理関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中川 啓 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (90315135)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 硝酸性窒素 / 地下水汚染 / コプロスタノール / カラム実験 / フィールド調査 / 汚染物質指標 / 汚染指標物質 / 数値シミュレーション |
研究開始時の研究の概要 |
硝酸性窒素による地下水汚染において,その汚染源位置および汚染原因を正確に把握することは,対策を講ずる上で重要である.この汚染原因を把握する方法は,これまでにいくつか提案されているものの,しばしば不可能なケースに直面するといった問題が残されている.そこで,本研究では,新たな汚染原因の分離方法および汚染源特定方法を確立することを目的として,糞便汚染指標の一つであるコプロスタノールの濃度を利用することを提案し,数値シミュレーションによる汚染源位置の同定を試みる.この手法の適用事例として,名水百選や水の郷に選定され,本来水のきれいな地域とされる島原市において生じている深刻な地下水汚染を対象とする.
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研究成果の概要 |
本研究では,地下水の硝酸性窒素汚染に対する,新たな汚染原因分離手法として提案しているコプロスタノールを利用する方法を,より確かなものとするため,コプロスタノールの移動特性について,カラム実験及びフィールド調査に基づき,検討を加えることを目的とした.その結果,コプロスタノールが表層近くに強く吸着されていることが明らかになった.フィールド調査からは脱窒のため硝酸性窒素濃度が低減していてもコプロスタノールが検出される場合は,糞便汚染の兆候が疑われ,その痕跡を示すものと考えられた.また流動経路の上流における土地利用から,その要因の一つは家畜排せつ物であると考えられた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
コプロスタノールの土壌への吸着特性を明らかしたことで,地下水と河川の相互交流関係を,コプロスタノール及び硝酸性窒素を通じて明らかにすることができ,現場における地下水と河川水の挙動の理解を助け,汚染の実態調査や汚染対策を講ずる上で実務的な成果につながることが期待できる.またコプロスタノールの測定と数値シミュレーション手法を組み合わせることにより,汚染源を推定することができることが分かった.以上より,硝酸性窒素による地下水汚染が深刻である地域の水環境の修復へ筋道をつけることができ,地域の貴重な水資源の保全に繋がる成果であることから,清澄な水の確保・保全の観点からも社会的意義のある成果である.
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