研究課題/領域番号 |
20K12257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分64040:自然共生システム関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
保坂 哲朗 広島大学, 先進理工系科学研究科(国), 准教授 (50626190)
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研究分担者 |
丑丸 敦史 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70399327)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 植物―昆虫相互作用 / 送粉生態学 / 湿地生態系 / 生物多様性保全 / 植物―動物相互作用 / 送粉システム / 湿地性植物 / 生態系管理 |
研究開始時の研究の概要 |
湿地特有の環境に適応した湿地性植物には多くの希少種が含まれ、これらの保全は喫緊の課題である。しかし、湿地性植物の生態、特に送粉様式は未解明な部分が多く、どのような昆虫が重要な送粉者かも十分に分かっていない。また、湿地や湿地周辺の環境変化はどのように送粉昆虫群集に影響し、送粉成功度に影響するのかについても知られていない。本研究は、中国山地湿地群の多様な植物種を対象に、(1)送粉昆虫群集の網羅的解明、(2)各昆虫グループの送粉重要度の評価、(3)湿地環境と送粉昆虫群集の関係性、(4)送粉昆虫群集と送粉成功度の関係について明らかにし、送粉ネットワークの保全を考慮した湿地生態系管理法の提案を目指す。
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研究成果の概要 |
本研究では、島根県および広島県の自然湿地を対象に湿地性植物の送粉昆虫相に関する網羅的な調査を行った。その結果、訪花昆虫において膜翅目が優占する森林や草地とは異なり、湿地では双翅目が最も多く、双翅目に依存する植物種も多いことがわかった。一方、観察された訪花昆虫の大部分は非湿地依存種であり、林縁に近いほど訪花昆虫の頻度が高いことが示された。この結果は湿地の訪花昆虫の多くは湿地周辺の森林や草地から飛来している可能性を示唆しており、湿地性植物の送粉者の保全には周辺環境の保全も重要であることが考えられた。また、インターバル撮影調査によって、いくつかの植物種は夜間の蛾が重要な送粉昆虫であることも示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
湿地生態系は重要な生態系サービスを有する一方で、世界的にも、国内でも劣化・減少の著しい生態系である。湿地特有の環境に適応した湿地性植物には多くの希少種が含まれ、これらの保全は喫緊の課題である。しかし、湿地性植物の生態、特に送粉様式は未解明な部分が多く、どのような昆虫が重要な送粉者かも十分に分かっていなかった。本研究の数多くの湿地や植物種を対象とした調査により、湿地の送粉昆虫の群集構造や湿地環境による違いなどが明らかになった。また、湿地性植物の送粉者の保全には湿地周辺の環境保全も重要であることが明らかになった。これらの知見は送粉ネットワークを考慮した湿地生態系の保全において重要である。
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