研究課題/領域番号 |
20K12404
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80020:観光学関連
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研究機関 | 奈良県立大学 |
研究代表者 |
水谷 知生 奈良県立大学, 地域創造学部, 教授 (40781555)
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研究分担者 |
平 侑子 せとうち観光専門職短期大学, 観光振興学科, 講師 (00866882)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 奈良のシカ / 野生生物観光 / 宮島 / 金華山 / 餌やり / 観光資源 / 野生動物の観光資源化 / 奈良の鹿 / 観光 / ガイドブック / 道中日記 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,野生生物と人との近接関係の観光資源化に着目する。奈良の人とシカとの関係は,長く神聖性が重視される存在であったが,17世紀中頃から奈良への参詣者が増え,シカとの近接関係(餌やり)が始まり,その後観光対象化されていったとみられる。近世から現代のシカと人に関わる同時代の資料を収集・整理することにより,来訪者のシカを観光対象として捉える見方とその変化,奈良の人のシカの観光対象としての容認の過程の二つの面から観光資源化の経過を明らかにする。また,シカとの近接関係が見られる他の地域において関係の成立経過をたどり,これらを通じ,野生動物との近接関係の観光資源化の成立の背景・要因を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では,野生動物と人との近接関係の観光資源化について,その経過,成立要因を奈良,宮島,金華山の事例により明らかにした。奈良では,神鹿の位置づけから近世以降シカと人が共存する形が作られ,それをベースに餌やりなどの観光利用が管理主体によって進められた。宮島では,明治以降,観光対象とする機会はあったが,被害管理と観光利用を進める主体が成立せず,人の居住空間でのシカの観光利用は困難となった。金華山では,第二次大戦前後に,森林被害防止を目的としたシカの大量捕獲に直面し,神社が管理に取り組むが,観光資源として継続的な管理を行う体制となっていない。観光資源化の背景には共存の強い意志が必要であった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
野生動物と人との近接関係の観光資源化は容易ではない。奈良では,近世以降シカと人が共存する形が作られ,それをベースに観光利用が管理主体によって進められたが,宮島,金華山では,観光資源として継続的な管理を行う体制が成立していない。その背景には,シカとの共存を図る地域の強固な意志の有無があった。本研究では近世以降にシカと人との近接関係があった奈良,宮島,金華山の3地域について,同時代の資料で近世以降現代までのシカと人との関係の実態を明らかにし,わが国の野生動物と人との関係史に新たな視点を提供するとともに,野生動物と人との近接関係を観光資源化する上での課題を明らかにした。
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