研究課題/領域番号 |
20K12475
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分80030:ジェンダー関連
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研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
小勝 禮子 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (80370865)
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研究分担者 |
金 惠信 沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (30448948)
川浪 千鶴 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30961669)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | アジア現代美術 / 女性美術家 / ジェンダー / ライフコース / 歴史 / 地域 / 境界 / 社会と美術 / 地域、境界 / アジア女性美術 |
研究開始時の研究の概要 |
美術館の展覧会や国際現代美術展などで女性美術家が選ばれることが少なく、注目されにくい現況に対して、アジア各地で40代以降も継続して活動する女性美術家の存在を本研究を通じて調査研究し広く紹介する。他の様々な職業と同列に「美術家」という専門職を考えることで、20-30代の若手の女性美術家に、自分たちのロールモデルとなるような中高年以降の女性美術家像を提示し、次世代の女性美術家の意識を鼓舞する。 また芸術が社会と無縁に存在することはあり得ず、歴史的問題や社会的関心事に対して発信することが現代の芸術の使命であることを、女性美術家の事例を通して訴え、芸術と社会の密接な関係について広く社会に理解してもらう。
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研究実績の概要 |
本研究の概要は、美術館の展覧会や国際現代美術展などで女性美術家が選ばれることが少なく、注目されにくい現況に対して、アジア各地で40代以降も継続して活動する女性美術家の存在を本研究を通じて調査研究し、広く紹介することである。 しかしながら令和4年度もCOVID-19の流行が引き続き、所属する京都芸術大学では海外出張は禁止という措置が継続された。当初予定していた欧州とアジア各地(台湾、韓国、香港等)での調査も断念せざるを得なかった。しかし国内出張は秋以降、可能になったため、あいちトリエンナーレ調査を始め、熊本、金沢、兵庫等の美術館における女性アーティストをめぐる重要な展覧会の調査を実施することができた。 科研費基盤研究(C)「東アジアの女性アーティストに見る地域と歴史の境界をめぐる研究」(2017-20年度)によって構築したウェブサイト「アジアの女性アーティスト:ジェンダー、歴史、境界」のデータベースに登録・公開する作業も継続して行った。この調査と登録は本科研も引継ぎ、延長した最終年度までに地域や年齢層も幅広く調査し、アジア女性アーティストの基礎的なデータベースとして一層充実させ、公開を続ける予定である。昨年度の新規登録は3件にとどまり停滞してしまったが、新しい項目として「インタビュー・座談会」というページを新たに作り、初回に沖縄の染織家にインタビューをすることができた。令和5年度には特にインタビューに焦点を絞って、研究分担者たちの協力を得て、4,5人のインタビューを実施し、公開する予定である。 調査出張については、関東圏での女性アーティストの個展やグループ展にも引き続き可能な限り足を運び、可能な場合はアーティスト本人からも話を聞くなどして、その成果を印刷物やウェブサイトに公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度もCOVID-19の流行が引き続き、所属する大学の方針で海外調査が禁止されたことが大きい。昨年度開催されたヴェニス・ビエンナーレは初めて女性アーティストとLGBTQの作家だけによる展覧会を実施したが、残念ながら調査することができなかった。しかし国内出張は可能になったので、昨年度の遅れを少しずつ取り戻すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
展覧会のために来日した海外在住のアジア女性作家と知己を得て、報告者が科研費によって管理運営するウェブサイト「アジアの女性アーティスト」のデータベースへの登録を依頼したり、2021年に報告者が執筆発表した日本人女性アーティストに関する批評文に、近作の情報を新たに追記して英訳を行い、2023年秋にアメリカの女性美術雑誌に掲載応募する予定など、昨年度の遅れを取り戻して最終年度に成果を上げる計画を整えている。 可能な範囲で韓国や台湾、香港など近隣のアジア諸国や、欧州などの海外作家調査を進めたい。またそれとともに、大学教育や学会などで既にすっかり定着したZoomを使ったオンラインでの研究会や打ち合わせのミーティング、作家インタビューなどを積極的に推進して行きたい。 研究の進捗が停滞していることを挽回するために、昨年度から新たに金惠信氏(沖縄県立芸術大学)と川浪千鶴氏(京都芸術大学)の2名に研究分担者として加わってもらい、沖縄、九州、四国など、報告者一人では行き届かない、地方で活動する女性美術家について調査研究を担ってもらうこととした。早速、昨年は沖縄在住の染織家のインタビューを行い、今年4月に公開した。引き続き、今年度も4,5人の九州や沖縄を含めた地方の活動歴の長い女性作家へのインタビューとその公開を続ける予定である。こうした先行世代のアーティストの経験が、次世代の女性アーティストに励みや指針を与えることを企図している。 アジアの女性アーティストのデータベースとなるウェブサイトも、作品写真や評論などのデータを引き続き登録して行きたい。
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