研究課題/領域番号 |
20K12475
|
研究機関 | 京都芸術大学 |
研究代表者 |
小勝 禮子 京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (80370865)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | アジア現代美術 / 女性美術家 / ジェンダー / 歴史 / ライフコース / 地域、境界 / アジア女性美術 / 社会と美術 |
研究実績の概要 |
本研究は、美術館の展覧会や国際現代美術展などで女性美術家が選ばれることが少なく、注目されにくい現況に対して、比較的注目されやすい若い世代ばかりではなく、アジア各地で40代以降も継続して活動する女性美術家の存在を調査研究し、広く紹介することである。しかし令和2年度に世界を襲ったCOVID-19の感染拡大により、当初予定していた韓国、台湾での調査を行うことができなかった。また国内調査も関東圏を除いては実施することを控えざるを得なかった。 そこで報告者は主にメールやSNSによる連絡を通じて海外在住者を含む日本やアジアの女性アーティストとコンタクトを取り、作品データや作家のステートメントを送ってもらうこととし、その成果を、今年度まで継続した科研費基盤研究(C)「東アジアの女性アーティストに見る地域と歴史の境界をめぐる研究」(2017-20年度)によって2020年度に構築したウェブサイト「アジアの女性アーティスト:ジェンダー、歴史、境界」のデータベースに登録・公開することができた。登録者数は、2021年3月現在77件(うちグループによる登録4件)である。 この調査と登録は本科研も引継ぎ、終了年度までに地域や年齢層も幅広く調査し、アジア女性アーティストの基礎的なデータベースとして登録者数を増やし、質量ともに一層充実させ、公開を続ける予定である。 調査出張を限定せざるを得ない中、関東圏での女性アーティストの個展やグループ展には可能な限り足を運び、可能な場合はアーティスト本人からも話を聞き、その成果を印刷物に発表することもできた。(7.研究発表の文献を参照)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
なんといってもCOVID-19の世界的な感染拡大が終息しなかったことが大きく、そのために新たな海外調査や、国内でも関東を除く遠隔地の調査を断念せざるを得なかった。しかしそのダメージを挽回するために、インターネットを使ってできうる限り遠隔地のアーティストとも連絡を取り、メールやSNS、ウェブサイトでの調査を進めることに努力した。今年度コロナ感染終息後は、初年度にできなかった海外調査を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は昨年できなかった、当初の予定である韓国、台湾の女性アーティストの現地調査を海外出張が可能になった時点で進めることを予定している。昨年度もメール等を通じて定期的にコンタクトはとっているので、インタビューなどはスムーズに行える予定である。また国内の関西や九州など遠隔地の女性アーティストや展覧会調査も可能になり次第、実施する予定である。 なお、当初は予定していなかったが、今年の10月から来年2月にかけてポーランド国立美術館にて、日本の前衛芸術の展覧会「Between Collectivism and Individualism -Japanese Avant-Garde of the 50s and 60s」が開催予定であり、報告者はそのカタログに日本の前衛女性アーティストについて寄稿する予定である。同展は東欧圏における日本の戦後前衛芸術を紹介する初めての機会であり、その中で女性アーティストがどのように展示、紹介されるか現地調査を実施したい。この時期までにCovid-19の感染拡大が抑えられ、海外出張が可能になっている場合である。なお、同展キュレーター、Maria Brewinska氏には、2019年に同氏が文化庁の招へいにより来日した際に面談する機会があり、今回の企画展についてもメールでやり取りをしており、同氏が女性アーティストについて深い関心を持っていて、同展にも女性アーティストの出品を予定していることは確認済みである。報告者はBrewinska氏に対して、50-60年代に活動した日本の前衛女性アーティストの資料や関係者情報を提供している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により、海外出張、国内出張ともに実施できなかったことが大きな理由である。2021年度、海外出張等が可能になれば以下のように執行する予定である。 旅費として、韓国出張、台湾出張、ポーランド出張により海外調査を行う。国内出張では、コロナ感染拡大期間中にできなかった福岡、関西での調査を行う。引き続き、ウェブサイトの登録作業も行うので、編集補助や英訳のための人件費・謝金も必要である。世界的にCOVID-19の終息が遅れ海外出張ができない場合は、やむを得ないのでもう1年繰り越しし、本研究期間を1年延長することも視野に入れたい。
|