研究課題/領域番号 |
20K12512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90010:デザイン学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
長野 和雄 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90322297)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 椅子座面 / 座面表面湿度 / 大腿後皮膚表面湿度 / むれ感 / 知覚閾値 / 椅子 / 座面形状 / 座面素材 / 座面湿度 / ムレ / ムレ感 / 体感温度 |
研究開始時の研究の概要 |
どんなに意匠や姿勢を支える力学的性能が優れた椅子であっても、座面にムレを感じるだけで座り心地は著しく低下し、さらにムレが進行すればニオイや肌トラブルをも招く。 本研究では、被験者実験と座面素材の諸物性値測定の結果を総合的に解析し、ムレ(物理量)やムレ感(心理量)の程度を室内温湿度や座面素材の物性値などの物理量から推定する評価モデルの確立を目指す。これは、デザイナーが経験や勘に頼らずにムレのない椅子を設計するためのツールになり得る。これにより将来ムレにくさの数値が椅子の性能表示項目に加われば、ユーザーにとっても有用である。
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研究実績の概要 |
令和4年度は、令和3年度に気温25℃で実施した被験者実験(以降、25℃実験)に準じ、気温のみ28℃に変更した実験(以降、28℃実験)を行った。すなわち、健康な男子大学生・院生20名を、気温28℃・湿度50%・気流を静穏に保った実験室に入れ、30分間立位安静の後、実験用椅子に着き90分間生理・心理測定を行った。実験用椅子は、座面にスリット状の空隙があるトリニダードチェア、身体形状に合わせて座面が湾曲している図書館椅子、平らな座面を持つ学校椅子の3条件とした。 その結果、28℃実験の方が25℃実験よりも接触面の温度が約2℃、水蒸気分圧が約10hPa高かった。両実験とも、大腿後皮膚表面水蒸気分圧(以降、pb-thigh)が約20hPa未満の時には、ほとんど「むれていない」と回答された。そこでpb-thighの階級幅1hPaごとに、むれ感の全申告のうち「むれている」を選択した比率を求め、その比率が20%以上となる最低階級をむれの知覚閾値と定義し算出したところ [22, 23)hPaであり、椅子座面条件間の差は小さかった。このことから、むれを感じ始めるのは座面条件によらずpb-thighが概ね22~23hPaに達するときであると考えられた。 生理量・心理量と椅子座面の諸物性値との関係を検証するため、物性値を得るための実測試験も行った。椅子座面にミスト水を噴霧した後、着席者を模した50kgの土嚢を乗せて座面表面湿度の経過を記録した。その挙動からむれやすさ・むれの速さ・乾燥のしやすさの目安となる3つの指標を導き被験者実験データと照合したところ、3指標とも大腿後皮膚表面湿度と有意な相関が認められた。 これにより、椅子座面の特性値から大腿後皮膚表面の湿度を推定でき、むれを感じ始める22~23hPaに至るかどうかの予測・評価に繋げられると期待される。
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