研究課題/領域番号 |
20K12605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90110:生体医工学関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
原口 亮 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 教授 (00393215)
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研究分担者 |
松山 高明 昭和大学, 医学部, 教授 (40349113)
芦原 貴司 滋賀医科大学, 情報総合センター, 教授 (80396259)
芳本 潤 地方独立行政法人静岡県立病院機構静岡県立こども病院(臨床研究室), 臨床研究室, その他 (20795330)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 生体シミュレーション / 不整脈 / WPW / 小児 / モデリング |
研究開始時の研究の概要 |
心臓が自律的かつ規則的に収縮を繰り返すことができるのは,心臓に埋め込まれている刺激伝導系と呼ばれる一定の道筋に沿って心房・心室へと電気信号が伝わる仕組みのおかげである.心臓不整脈の1 つであるWolff-Parkinson-White (WPW) 症候群の原因は,正常な刺激伝導系とは別に,先天的に心房と心室とをつなぐ副伝導路が存在することである.本研究は,先天的に副伝導路は存在するにも関わらずWPW症候群が顕在化するタイミングが人それぞれなのは何故なのかを問いとし,病理画像解析とコンピュータシミュレーションにより妥当性のある仮説を見出すことが目的である.
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研究成果の概要 |
単純形状モデルを用いて,電気伝導率やイオンチャネル電流を変化させながらシミュレーション実験を行った結果,副伝導路を介した興奮伝導の成立のメカニズムとして source-sink relationship が支配的であることが明らかとなった.また,加齢変化や性差によるイオンチャネル電流の変化は,興奮伝導の成立の可否にはほとんど影響を与えないことも確認した.Naチャネル電流遮断は順伝導の不応期を延長し抗不整脈作用を示すが,逆伝導の不応期をほとんど変化させないことが明らかとなった.以上からWPW症候群の顕在化メカニズムおよび心房細動合併から心室細動に移行するメカニズムに重要な示唆を与える結果を得た.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
WPW症候群においては先天的に副伝導路が存在するが,心電図異常や頻拍発作が顕在化するのは生後すぐとは限らず人によって様々である.また心筋組織における伝導率は一般に加齢とともに低下する.本研究成果により,先天的に副伝導路が存在し,かつ加齢により副伝導路の伝導率が低下することにより,副伝導路を介した伝導が成立するようになるというWPW症候群の顕在化メカニズムの可能性が示唆された.またNaチャネル遮断薬による薬物治療により症状を抑えても,早期興奮心房細動のリスクは低減しない可能性が示唆された.
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