研究課題/領域番号 |
20K12745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分90150:医療福祉工学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
村上 隆啓 明治大学, 理工学部, 専任講師 (50409463)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 老人性難聴 / 補聴器 / 遅延聴覚フィードバック / 客観評価 / マイクロホンアレー校正 / 非負値行列因子分解 / 到来方向推定 / phase vocoder / 1チャンネルマイクロホン / 音源方向推定 / 話速変換 / 仮説検定 / 方向推定 / 再生速度変換 / 客観的評価 / 1chマイクロホン |
研究開始時の研究の概要 |
老人性難聴者を対象とした補聴器の性能改善を行う.現在の補聴器には,低下した聴覚機能を補うために様々なディジタル信号処理(DSP)技術が実装されている.しかし,現在の補聴器は入力音と出力音の時間差が0.01秒以下となるように設計されており,これが原因でDSP技術の性能が限定的となり,補聴器利用者にとっては性能改善が感じられていない. そこで本研究では,仮説「補聴器の入出力時間差の許容量は,加齢による聴力損失の大きさに伴って増加する」を検証する.これが裏付けられることにより,対象を老人性難聴者に限定することで補聴器の入出力時間差を従来よりも長く設定でき,DSP技術の性能を大幅に改善できる.
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研究成果の概要 |
本研究課題は、老人性難聴用補聴器の改善に関するものである。本研究ではまず、自身が発した音が遅れて聞こえる遅延聴覚フィードバックが起きている場合の影響を調べるために、そのときの違和感を主観的に評価する実験を比較的大規模に実施し、大学生を中心とした若年者と比較して60歳以上の高齢者では違和感の発生しづらさに有意差があることを示した。次に、より細かい調査を実施するために、これを客観的に評価するためのボタン押し課題および装置を開発し、大雑把であるがボタン押し課題によって年齢による影響の差を測定できることを確認した。また、上記の調査および補聴器の性能改善と関連した音響信号処理技術も新たに開発した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
加齢に伴う聴力の衰えである老人性難聴は、近年になって認知症リスクの上昇につながる可能性が指摘されていて、それを補助するための補聴器の利用が推奨されている。しかし、補聴器の普及率は非常に低い。その理由は、利用者の期待と比較して補聴器の性能が十分ではないためと考えられる。 補聴器の性能が限定的な理由の一つに、補聴器に許容される入出力音の時間差が非常に短いことが考えられる。本研究課題は、この時間差の許容量が老人性難聴の場合には比較的長く設定できる可能性を示すものである。本研究課題で得られた結果により、この時間差を長く設定できるようになり、それによって補聴器の性能の大幅な改善が期待される。
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