研究課題/領域番号 |
20K12849
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01050:美学および芸術論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
柴田 康太郎 早稲田大学, 文学学術院, 日本学術振興会特別研究員 (00801060)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
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キーワード | 奈良 / 映画興行 / 映画配給 / サイレント映画 / 映画館 / 地域研究 / 地方都市 / 日活 / 大正時代 / 尾上松之助 / 映画 / 帳簿 / 興行 / 弁士 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、奈良尾花劇場(1920~1979年)など中野商会の映画興行・経営資料(ホテルサンルート奈良蔵)を多角的に分析するものである。これにより、大都市と異なる地方都市の中小規模の映画館の興行実態を戦前から戦後までの長期にわたる動態のなかで明らかにし、さらに、この事例を先行研究で考察された大阪、神戸、京都などの関西の大都市の映画館や映画文化との関係のなかで再考し、関西圏の映画配給や映画文化の流通のあり方に光を当てる。
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研究成果の概要 |
本研究は、大阪中野商会が奈良で経営した映画館(電気館、尾花劇場、キネマ電気)の経営資料を考察することにより、奈良の事例を通して地方都市における映画興行の実態、およびそれを支える映画供給体制の形成過程を浮かび上がらせた。帳簿資料の分析においてはサイレント時代の地方都市の映画館の実態を捉えるとともに、その変容過程を明らかにした。1920年代半ばまでに奈良では少しずつ映画館が増加し、映画館同士の競争が高まっていたが、中野商会は上映作品や弁士や音楽家の拡充を図って競争力を強化していた。サイレント時代の映画文化は、地方と都市との時間差や地域差を変容の契機としながら展開していたということができる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、大阪、神戸、京都、名古屋のような東京以外の大都市を事例に、従来の東京中心の「日本」映画史を読み直す研究が進められている。本研究は奈良という地方都市の事例を扱うことで、大都市の周辺でどのような映画文化の時間差や地域差があったのかを明らかにし、大阪中野商会や聯盟活動写真商会のような映画興行社や映画配給会社に光を当てた。この考察においては従来の研究で扱われなかったような映画館経営の実像を記録した帳簿資料の読解を進めることにより、大正期の地方都市における映画館の活況やその変容を明らかにし、「日本」映画史の実像を地方都市の視角から捉えることの重要性を明らかにした。
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