研究課題/領域番号 |
20K12909
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分01080:科学社会学および科学技術史関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
高島 響子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 室長 (10735749)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ゲノム医療 / 患者遺伝情報 / 患者・家族—医療者関係 / ELSI / 守秘義務 / 自律尊重 / 善行 / 遺伝カウンセリング / 遺伝情報 / 患者家族 / 遺伝情報の共有 / 倫理的ジレンマ / ゲノム医療の倫理 / 遺伝子例外主義 / 遺伝子解析結果のフォローアップ責務 / 患者遺伝情報の家系員への共有 / 患者・家族-医療者関係 / 研究倫理 / 生命・医療倫理 |
研究開始時の研究の概要 |
個人ゲノムの網羅的解析に基づく遺伝医療(ゲノム医療)が臨床応用の段階へ入り、その特徴を踏まえた新しい患者・家族―医療者関係における倫理的配慮を伴う医療実践が喫緊の課題となっている。ゲノム医療は研究と臨床が相互に関連し不可分な関係にあることから、伝統的に研究と臨床の区別を前提としてきた研究倫理、臨床倫理の枠組みでは、その倫理的課題を十分に解決できていない。そこで、個別化医療時代のゲノム医療における患者・家族・医療者間の関係性をモデル化し、研究・臨床の混合構造における倫理的課題を明らかにしたうえで国内のゲノム医療における解決策を提示することを目的とし、規範研究と実証研究を行う。
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研究実績の概要 |
研究計画の3年目にあたる今年度は、患者遺伝情報の家系員との共有において生じる倫理的ジレンマに関する調査ついて昨年度に収集したデータの分析を進めた。その結果、当院で過去に実施した遺伝カウンセリング症例で遺伝カウンセリング担当者が倫理的ジレンマを感じた10症例に共通する事項として、①患者や家系員にとって臨床的有用性が高い遺伝情報が得られたことと、②複数の家系員がいたことが挙げられた。さらに、各症例における患者遺伝情報の家系員との共有に関わる要素を抽出し遺伝カウンセリングのタイムラインに沿ってまとめると、「疾患・遺伝学的検査受検自体の家系員への非共有」、「患者と家系員の共有に対する意向のギャップ」、「家系員が未成年」、「性差による認識のギャップ」、「患者容体悪化または死亡による共有の実現困難」、「家系員との関係持続困難」、「遺伝的リスクと家族関係のギャップ」、「家庭内共有後の理想とのギャップ」、「サーベイランスの有効性が未確定な場合の未発症者への共有」となった。これらの要素の中でどのような倫理的ジレンマが生じたかについて医療倫理の四原則(自律尊重原則、無危害原則、善行原則、正義原則)を参照しながら分析した結果、1.血縁者への善行とその阻害要因の対立、2.血縁者の自律尊重とその阻害要因の対立、3.血縁者への善行と血縁者への無危害の対立、の3つに類型化できた。本研究は一医療機関における遺伝カウンセリング担当者及びカウンセリング症例を対象としたもので結果の偏りやばらつきはあるものの、今後、ジレンマが生じやすい症例を事前に特定し初回の遺伝カウンセリング時から可能な工夫や注意を提供する基礎資料を得ることができた。これらの分析結果を第46回遺伝カウンセリング学会学術集会にて発表した。現在、論文執筆中で次年度中の発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた調査の分析が完了し発表に至った。
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今後の研究の推進方策 |
調査結果を元に、ゲノム医療の遺伝カウンセリングにおける患者遺伝情報の家系員との共有の実践に役立つ情報を提言する。
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