研究課題/領域番号 |
20K13058
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分02070:日本語学関連
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研究機関 | 常葉大学短期大学部 |
研究代表者 |
中野 直樹 常葉大学短期大学部, 日本語日本文学科, 講師 (00828650)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 漢文訓読 / 文之点 / 琉球 / 四書 / 科挙 / 訓法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、近世における琉球での漢文訓読の実態を調査し、当地の言語文化の一端を明らかにするものである。 近世琉球において、上層階級にとって漢文で文書を書くことや、漢文を学ぶことは当時必須の教養であった。その際に用いられた漢文訓読の訓法は、文之玄昌による「文之点」であったと先行研究では指摘されてきた。しかしこれは、文書類の記述からの類推であり実際の典籍から帰納されたわけではなかった。 そこで本研究では、琉球における漢文訓読の実態を、文書類の証言からの類推や少数の用例からの帰納ではなく、近年所在が明らかになりつつある琉球漢文資料を広く実見することによって、その全体像を実証的に明らかにしたいと考える。
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研究実績の概要 |
今年度は、昨年度までに収集した資料をもとに琉球における漢文訓読がどのように行われていたのかを検討し論文化した。検討した結果の大枠は昨年度報告した実績の概要に載せたものと変わらないが、様々な研究者から意見をもらい適宜加筆修正を行った。琉球には文之点での読解が行われていたことは確かであるが、それ以外にも琉球独自のものと思われる訓法が確認できたことは極めて興味深い。これは、漢文訓読という形式は日本からのものだとしても、そこから独自の訓読が琉球において発達していたことになる。 さらに、琉球において重視されていたといわれている文之点の資料(大魁本『四書集註』寛永二年点)の紹介も昨年度に引き続き行った。 また、琉球での漢籍学習の調査の一環として、琉球で行われていた科挙に関する資料(これまで未紹介だったもの)を東京大学総合図書館で調査した。この調査で書き込みを詳しく調査した結果、従来報告されていたよりも高頻度で琉球の科挙が実施されていたことが分かった。琉球で実施されていた科挙は、その出題内容が琉球の士人たちにとって、どの典籍を学習するかのひとつの基準となっていたのであり、琉球での漢文訓読(あるいは漢文学習)と密接に関係している。そういった資料の発掘を今後も続けていきたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では、以下の四点の解明を目指していた。
①琉球における漢文は、文之点で読まれた形跡が文献上に全く確認できないのか。②文之点が用いられていないならば、琉球漢文における訓法についての二つの証言(泊如竹・照屋里之子による)は何だったのか。③琉球における訓法は実際のところ、何によっているのか。何か参考書等があったのか。また科(科挙)との関係はあるのか。④仮に文之点が何らかの点法に取って代わられた、あるいは、琉球における漢文の訓法が文之点から変化した訓法を有しているのであれば、どのように異なっているのか。
このうち、①④の解明が今年度までに殆ど完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上記研究課題のうち、②と③について重点的に研究を進めたい。②については、古文書類から検討を行い、③については琉球において使用されていた字書の書き込みをもとにどういった資料が漢文読解の場で活用されていたのか考えたい。
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