研究課題/領域番号 |
20K13252
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所 |
研究代表者 |
松田 和貴 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 研究員 (60791035)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 出土木材 / 保存処理 / 含浸 / 溶媒蒸発 / 移流 / ポリエチレングリコール |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、出土木製遺物の保存処理における薬剤含浸の効率化に資するべく、遺物内部に溶質を能動的に移動させる新たな手法の確立を目指すものである。研究期間内には、1)木製遺物の保存処理に用いられる各種の薬剤について、溶液の濃度・温度と粘度との関係を定量的に明らかにすること、2)出土木材の材質的特徴に由来する種々の物性値と各種溶液の浸透性との関係について明らかにすること、3)溶媒蒸発を利用した薬剤含浸における適切な処理条件を検討することを主要な目標とする。
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研究成果の概要 |
遺跡から出土する脆弱な木製遺物の保存処理には、安定化のための薬剤含浸に長い期間を要することから、その効率化が長年の課題とされてきた。本研究では、遺物表面からの溶媒蒸発を利用して木材内に溶液の流れを生じさせ、移流によって遺物内部に溶質を能動的に移動させる新たな薬剤含浸法について、実験によりその実用性を示した。従来の薬剤含浸法に比べ、出土木製遺物の保存処理の効率を大きく向上させる一助となるものといえる。一方で、適切な処理条件の策定法については、今後さらなる検討が必要である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、出土木製遺物の保存処理における薬剤含浸について、その効率を従来法に比べて大きく向上させる新たな手法とその実用性を示したものである。木製遺物の保存処理効率の向上は、未処理のまま水中で仮保管される期間の短縮にも寄与する。すなわち本研究の成果は、より多くの木製遺物を、より良好な状態で後世に残し伝えることにつながるものであるといえる。また、実務上の作業負担が大きく軽減されるとともに、使用薬剤量やエネルギーの削減も可能であることから、人的・経済的なコストの大幅な低減につながるものである。
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