研究課題/領域番号 |
20K13314
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分05020:公法学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西上 治 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (70609130)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 個人情報保護 / 権力分立原理 / 行政法 / 個人情報保護法 / 個人情報保護委員会 / 独立性 / 民主的正統性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、個人情報保護法上の独立監督機関の独立性と民主的正統性の関係に焦点を合わせ、独立監督機関が有するべき組織について、①十分性認定の条件としてEU法はいかなる内容を求めているか、②それは日本国憲法が許容している内容と矛盾しないか、を検討する。①に関し、EU諸国や第三国等に関する広範な国際比較研究を行い、②に関し、ドイツ公法学の蓄積を参照しつつ、日本国憲法の具体的な解釈論を展開する。
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研究実績の概要 |
本研究は、特に個人情報保護法上の監督機関の独立性と民主的正統性の関係に焦点を合わせ、独立監督機関が有するべき組織について、(1)十分性認定の条件としてEU法はいかなる内容を求めているか、(2)それは日本国憲法が許容している内容と矛盾しないか、を問うものである。(2)については、特に機能的権力分立原理の観点から国法秩序を統一的に把握し、独立監督機関の独立性と民主的正統性の調和を探求しようとするものである。 (1)については、EU法そのものからはいったん離れ、EU法の要求にこたえる形で改正された日本の個人情報保護法の内容および同法の改正に伴う地方公共団体の条例の改正状況について調査した。とりわけ、監督機関たる個人情報保護委員会の組織と権限について、地方公共団体に設置された個人情報保護審議会等との役割分担に焦点を合わせた検討を行った。 (2)については、機能的権力分立原理の観点から行政内における権限分配および裁判所の権限を分析する内容を含むものとして、①「客観争訟における法主体の位置づけと機能」公法研究83号134頁、②「法律上の特別の根拠なき機関訴訟の基礎づけ 」太田匡彦=山本隆司編『行政法の基礎理論』(日本評論社、2023年)105頁を公表した。また、行政組織内の権力分立原理についても論究する③船渡康平「行政法における組織規範の性質(1)~(6・完)」の書評を東京大学公法研究会で行った。他方、国法秩序における権力分立の1つの表れとして、国と地方公共団体の権限分配および両者間の争訟における裁判所の役割については、④「沖縄県漁業調整規則に基づく水産動植物の採捕に係る許可に関する県知事の判断と地方自治法245条の7第1項所定の法令の規定に違反していると認められるもの(最判令和3年7月6日民集75巻7号3422頁) 」判評765号7頁を公表し、⑤行政事件訴訟研究会においても報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)「十分性認定の条件としてEU法はいかなる内容を求めているか」に関しては、令和4年度も、新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、予定されていた現地における海外調査が実現できなかった。そのため、上記のように第三国に対する十分性認定等の分析は進めているものの、EU加盟国および第三国の個人情報保護制度の調査は十分に進捗しているとはいえない状況にある。他方、日本国内におけるEU法への対応を調査し、そこからEU法の要求内容を把握する試みを進めることができた。当初の計画には含まれていなかったことであるが、研究目的の達成に向けて着実に進展している側面もある。 (2)「それは日本国憲法が許容している内容と矛盾しないか」に関しては、引き続き研究が進んでいる。とりわけ、専ら国内法を素材として機能的権力分立原理の分析を加えた。研究代表者の従来の研究内容である機関訴訟に重点が置かれているものの、具体的な裁判例を素材としたことで、地に足の着いた議論を展開する素地を固めることができたのではないかと思料する。 したがって、総合的には、おおむね順調に進展していると評価することができる。
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今後の研究の推進方策 |
(1)「十分性認定の条件としてEU法はいかなる内容を求めているか」に関しては、令和5年度こそ現地における海外調査を実施したいと考えている。それと並んで、EU加盟国および第三国の個人情報保護制度の調査について、国内で入手できる文献を使って進めていく予定である。この点も令和4年度は十分に実施することができなかった。具体的には、各国(カナダ、スイス、ニュージーランド、イギリス)への十分性認定に加え、個人情報保護制度に関する欧州司法裁判所の判決 (アメリカ、ドイツ、オーストリアに関する事件)を分析する。また、個人情報保護制度に限らず、EUにおける独立機関の正統性に関しても分析を加え、個人情報保護法上の独立監督機関を基礎理論的な文脈に位置づけることで見通しを良くすることを計画している。(2)「それは日本国憲法が許容している内容と矛盾しないか」に関しては、引き続き機能的権力分立原理の内容の解明および具体化を進める。個人情報保護委員会以外の独立監督機関も含めて横断的に分析することで、見通しの良い理論を展開することを目指している。
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