研究課題/領域番号 |
20K13392
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
関 能徳 筑波大学, 人文社会系, 助教 (40824256)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
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キーワード | 政治学 / 政治経済学 / 比較政治学 / 政治行動論 / 民主主義の崩壊 / 民主主義の後退 / 民主主義への支持態度 / 再分配選好 / 民主主義の危機 / 経済的不平等 / 実験社会科学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、民主制の崩壊と危機のメカニズムを説明する理論を構築し、世論調査データと実験データに基づいた実証分析を行う。具体的には、政治体制変動論で中心的な役割を果たしてきた経済的要因、特に経済格差や不平等が、(1) 有権者の民主制についての理解と評価を形成するメカニズム、(2) 国政選挙において民主制/独裁を争点化させるメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
昨年度までの成果を踏まえ、2022年度は(1)民主主義の理解について日本と台湾の有権者を対象とした実験、(2)生活保護申請を例として、社会的アイデンティティが再分配選好に与える影響についてコンジョイント実験を行った。
(1)については、2021年度に日本の有権者を対象として行ったコンジョイント実験に類似した実験デザインを用い、有権者がある架空の政治体制が民主的か否かについて評価する際に、民主主義の手続き的側面(選挙や政治参加)と実質的側面(経済・社会的公正さ)のどちらにより重きを置くのかに関するコンジョイント実験と、市民の抱く民主主義観がメディア接触の影響を受けるのかについてのサーベイ実験を行った。予備分析の段階では、コンジョイント実験からは、人々の民主主義観の多様性が再度確認され、サーベイ実験からは政治ニュースへの接触が日本の有権者の手続き的民主主義観を増すことが確認された。
(2)については、特に一昨年度に行ったサーベイ実験の結果の一部(外国人生活保護受給者についての情報が再分配選好を減らす)を踏まえて、日本の有権者を対象としてコンジョイント実験を行い、架空の生活保護申請を人々が評価する際に、日本国籍・外国籍の違いが影響を及ぼすのか、またそれは申請者のその他の属性(性別、年齢、学歴、貧困の原因など)と比べてどの程度の影響力を有するのかを分析した。分析の結果、日本の有権者は日本人による生活保護申請を外国人による申請より優先して受理する傾向が確認され、国籍の影響は他の要因と比べて非常に大きいことが分かった。本研究の成果は現在日本の学術誌にて審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度に執筆したワーキングペーパーをSocial Science Japan Journal誌上で出版した(2023年3月)。2021年度に執筆したワーキングペーパーの1つを2022年4月に学会報告し、『国際日本研究紀要』に出版した(2023年3月)。2021年度に予備分析まで行った民主主義の理解についてのコンジョイント実験の結果を論文としてまとめ、Frontiers in Political Science誌にて出版した(2023年1月)。同論文は台湾の中央研究院で開かれた国際ワークショップで発表し(2022年12月)、そこで得たフィードバックを修正後再提出の際に活用した。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる2023年度は、まず2022年度に日本と台湾で行ったサーベイ実験およびコンジョイント実験の成果を論文としてまとめ、英文学術誌に投稿する。また、日本の有権者を対象としたサーベイ実験を新たに行い、研究成果を英文学術誌に投稿する。ここでは人々の民主主義理解と再分配選好の関係性を検証するための実験を行う予定である。
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