研究課題/領域番号 |
20K13414
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
川口 雄一 創価大学, 文学部, 非常勤講師 (10756307)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 南原繁 / 富山県射水郡 / 牧民官 / 富山日報 / アーネスト・バーカー / バートランド・ラッセル / 新カント派 / 桑木厳翼 / 新渡戸稲造・内村鑑三門下の社会派官僚 / 内務省の牧民官 / Bertrand Russell / 労働組合法案 / 教育基本法 / 務台理作 / 後藤新平 / 前田多門 / 川西実三 / 米騒動 / 日本の社会科学 / 内務省 / 戦後教育改革 / オールドリベラリスト |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、南原繁とその同世代の知識人とを対象とする政治思想史研究である。対象とする南原と大内兵衛・高木八尺・田中耕太郎・河合栄治郎・矢内原忠雄とには、戦前に官僚(実務)経験をもち、戦中に社会科学研究を進め、戦後改革に携わったという共通性がある。本研究は、この戦前・戦中・戦後の3つの経験を軸とした思想史研究を進める。それによって「国民教育」や社会保障制度をめぐる彼らの国家構想を浮かび上がらせていく。
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研究実績の概要 |
当該年度では、研究出張を3回にわたって実施した。いずれも富山県への出張であり、射水郡長時代の南原について調査を進めた。この出張で調査対象としたおもな資料・施設は下記の通りである。 現・県立小杉高校(南原が創立に尽力)および同校所蔵の南原関連資料、高岡市立博物館(射水郡庁跡地)、新湊博物館所蔵の南原発信書簡、県立公文書館所蔵の射水郡関係資料、および県立図書館所蔵の郷土新聞(南原在任中の記事)。 これらの調査のなかで、とくに郷土新聞『富山日報』には、南原郡長の動向について相当に詳しい記事が掲載されていることが判明した。また、そのために調査には想定外の時間を要することとなっている。この点に関しては、中間報告として、研究会で調査の進捗と結果とについて発表した。 なお、これと並行して、以下2点の研究を進めた。(1)前年度までの研究実績をふまえて、英国の政治・社会思想にたいする南原の研究(内務省退官後に進めたと思われるもの)について、調査・研究を進めた。(2)英国の思想への関心からドイツ新カント派への関心の転換の契機を探るため、1910年代~20年代の日本のカント主義思想について調査・研究を進めた。これらのうち(1)は学会で試論の発表を行った。(2)は研究会で中間的な成果を報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍に伴う規制にたいする緩和が進み、当初計画していた研究出張を実施することができた。計画上では2020年度に実施予定だった富山県への出張である。 ただし、研究出張を実施したところ、当初の予定より遥かに充実した資料が同県に残されていることが分かった。とりわけ日刊紙に、南原に関する情報が詳しく残されており、これを調査するのに相当の時間を要している。そのため、当初の計画を若干変更し、富山県での資料調査の完遂を最優先とし、ひきつづき調査を継続している。
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今後の研究の推進方策 |
今後(最後の1年間)の研究の推進方策として、まずは富山県での資料調査の完遂を最優先とし、2022年度の調査を継続する。これまでの調査に要した時間と経費とに鑑みて、郷土新聞4紙のうち、1紙について調査を完了させることをめざす。また、この調査にもとづいて知見を整理し、成果を研究会および活字にて発表する。 上の点を最優先としたうえで、可能であれば、当初の計画に掲げていた香川県での調査も実施する。予備的調査を実施し、更に相当の時間と経費との必要性が明らかになった際には、2024年度以降の新たに研究として計画を立ち上げ、遂行をめざしたい。 また、コロナ禍の発生に伴い、計画を前後した、南原の労働組合法案作成過程の研究は、上の富山県射水郡に関する調査・研究の結果をふまえたうえで、改めて再開する。 なお、この間、コロナ禍の制約下で進めてきた、1910年代以降の南原の英国思想の受容・研究、ドイツ新カント派への関心の転換等の主題についても研究を継続する。
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