研究課題/領域番号 |
20K13473
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 長崎大学 (2023) 弘前大学 (2020-2022) |
研究代表者 |
桑波田 浩之 長崎大学, 経済学部, 准教授 (40782785)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 経営者報酬 / 所得格差 / グローバリゼーション / 輸出 / 海外直接投資 / ストックオプション / 労働組合 / 差の差の分析法 / 不平等 / インセンティブ報酬 / コーポレート・ガバナンス / 企業データ / 企業ガバナンス / インセンティブ報酬制度 / 操作変数法 / 企業ガバナンスの欠如 / 経営者報酬の高騰 / 所得格差の拡大 |
研究開始時の研究の概要 |
国際化の中で大企業の経営者が多額の報酬を受け取っていることが批判されている。採択者は先行研究にて、日本の全上場企業の経営者の報酬と社員の給与のデータを用い、2008年の金融危機の後、輸出企業において社員の給与が減少する反面、経営者の報酬は据え置かれたことで、所得格差が拡大したことを明らかにした。しかし、この背後にあるプロセスには未だ不明な点が残されている。そこで本研究では、上記の研究を発展させ、経営者のインセンティブ報酬と企業のガバナンスのデータを用いて、経営者の報酬の負のショックに対する反応が鈍い要因を明らかにする。これにより、グローバル化に伴う格差拡大の要因を明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究の目的はグローバル化が経営者と一般社員の間の所得格差に与える影響を明らかにすることにある。その際、2008年にアメリカで生じた国際金融危機を日本の企業にとっての外生的な負のショックと見なして、企業内格差に与える効果について差の差の分析法を用いて推定を行った。その結果、海外直接投資は経営者報酬を上昇させる効果を持つことが明らかになった。加えて、金融危機の後、経営者の報酬は有意に低下しない一方、一般社員の年収は減少していることが分かった。この結果、金融危機の後、経営者と社員の間の報酬格差は拡大した。これらの結果は、近年のグローバル化の進展が経営者の報酬の高騰と寄与していることを示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
歴史的に稀に見る近年の所得格差の背景に、大企業の経営者が高額の報酬を受け取っていることがしばしば批判される。先行研究は、格差拡大の主な要因として情報通信技術の発展を挙げ、必ずしもグローバル化と所得格差の間に明確な関係は見いだせていない。本研究は2008年に生じた国際金融危機を日本企業にとって外生的な負のショックと見なし、輸出や海外直接投資が、経営者と一般社員の報酬に与える影響について計量的に分析を行った。その結果、輸出や海外直接投資は経営者報酬を引き上げ、企業内所得格差を拡大させる傾向があることが判明した。本研究の結果は格差是正のための政策を検討する上での材料を提供する。
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