研究課題/領域番号 |
20K13474
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
阪本 浩章 神戸大学, 経済学研究科, 准教授 (80758996)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 気候変動 / 統合評価 / 経済学 / 経済分析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,地球の気候システムと経済システムとの相互作用について,理論分析と数値分析とを接合する新たな統合評価モデルの開発を目指す.とくに,既存研究の多くが用いる線形性の仮定を緩和し,気候システムの非線形性が経済システムの中で果たす役割を解明する.手法としては,動学的最適化問題の逆問題を解くことで,順問題が解析的な解を持つことを保証しながらモデルを一般化するというアプローチをとる.モデルの応用として,全球気候モデルの実験結果をベンチマークにカリブレーションを行い,最適な気候変動政策や国際協調の可能性,不確実性の影響等について定量的に評価する.
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研究実績の概要 |
気候システムのフィードバックを考慮した解析的統合評価モデルについて,分析結果をまとめた論文を執筆し,国際学会に投稿すると同時に国内外で研究報告を実施した.理論的な結果として,線形モデルを仮定した場合の近似誤差を二酸化炭素の累積排出量の関数として導入することによって,モデルの解析的な構造を維持したまま,具体的な関数形を特定することなく,一般性の高い形で気候システムの非線形性を導入できることを明らかにした.結果として,炭素の社会的費用の公式も閉形式で得ることが可能になり,従来は数値計算に頼らざるを得なかったフィードバック効果の特徴づけが理論的にも可能であることを示した.また,理論的結果を定量的に評価できるようにモデルのカリブレーションを行い,気候システムの非線形性が炭素の社会費用に大きな影響を及ぼすことを明らかにした.一方で,関連する研究として,国際環境協定の安定集合に関連する論文の執筆も進め,気候変動問題を念頭に置きながら理論的な分析を進めた.具体的には,国際環境協定の研究で専ら採用されてきた安定性の概念を批判的に再検討し,vNM安定性と統合する形で新しい解概念を考え,その特徴づけを行った.こちらの研究についても国内外で報告を行った.さらに,昨年度に引き続き,気候変動に関連する理論・実証研究について外部から報告者を招聘して研究会を定期的に開催し,経済学や隣接分野の研究者とアイディアを共有することに努めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに論文の執筆を進められており,国際学会や国内学会て研究成果を報告することができた.
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今後の研究の推進方策 |
執筆した論文について,他の研究者のフィードバックを募り,それを受けて改訂の上,ジャーナルに投稿する.また,気候変動に関する学際的な研究会を継続的に実施し,分野を越えたネットワーキングの場として発展させる.
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