研究課題/領域番号 |
20K13543
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07070:経済史関連
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研究機関 | 東京大学 (2022) 愛知県立大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
中西 啓太 東京大学, 文書館, 准教授 (30755484)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 日本史 / 経済史 / 日本近現代史 / 労働史 / 地方史 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、明治中期~大正期の農村地域に所在した大規模煉瓦工場を事例に、労働者の雇用において企業は周辺地域社会とどのような関係を取り結んだのかを分析する。 煉瓦製造業は当該期には例外的に男性肉体労働者を多く雇用したため、①労働市場の未成熟や周辺農業との労働力需要の競合などをいかに乗り越えたのか?②地域社会との関係は経済的にどう機能したのか?、を考察できる。 以上の分析により、地域社会の経済的な機能という研究群と労働史とを関連付ける。また、比較可能な賃労働者が所在する都市史・鉱業史、地理的に重なる農村史など、様々な研究分野と接続することで独創的な研究潮流を作り出すことが可能となる。
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研究成果の概要 |
本研究は、明治中期~大正期の農村地域に所在した工場・企業は、労働力をめぐって周辺の地域社会とどのような関係を取り結び、人々はどのように働いていたのかを、当該期には例外的に男性肉体労働者を多く雇用した煉瓦製造業を事例として検討した。 第一に、地域社会の既存の労働集団と工場との関係やその変化を捉え、工場の設置という近代資本主義経済社会がもたらした変化を考察した。第二に、地域へ流入してくる者も含めたさまざまな労働者の様相を捉え、賃金水準や勤続期間などを比較しつつ労働史に貴重な事例を提示した。よって、先行研究に対して労働の観点を持ち込み、実態が分かっていなかった労働者の事例を明らかにできた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は、長らくブレイクスルーと言えるような発展的研究が登場していなかった研究潮流に対し、新しい視点や発見を持ち込んだという学術的意義を有する。 また、近代以降の日本の歩みは、人々の「生」にかかわって雇用労働が占める比率が高まっていく過程と捉えることもできる。そうした視点に立った時、従来の研究では実態が分かっていなかったが、雇用労働者の一大勢力であったと考えられる男性肉体労働者の一側面を提示することができた。これは、前近代社会からの転換を含め、現代とは異なる働き方・生き方の理解を深め、省みる材料を提供する点で社会的意義を有する。地域の博物館での講演という形での社会的還元も予定されている。
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