研究課題/領域番号 |
20K13637
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分07100:会計学関連
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
澤井 康毅 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (60784379)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | 企業結合会計 / 財産評定 / 83条時価 / 公正価値 / 減損 / 実験 / 低価法 / 最有効使用 / 剥奪価値 / 会社更生法 / 時価 / のれん |
研究開始時の研究の概要 |
法的整理に係る財産評定が法定の目的を果たし、事業再建を成功に導くという意味で最適なものになっているのかを問う。特に会社更生法に係る財産評定の妥当性評価を行う。具体的には、①財産評定と、その原型となった米国会計基準(2001年発効)の相違点及び相違の原因、②米国会計基準の改正(2007)による資産評価方法の変化、本改正に併せ財産評定を改める必要はなかったか、③財産評定は、債権者間の公正・衡平な権利分配を果たし、事業再建を成功に導くものとなっているか、を明らかにする。
|
研究成果の概要 |
本研究では、会社更生法に係る財産評定の「時価」と公正価値の関係性、および財産評定の妥当性を分析した。 特に、財産評定において金額的重要性の高い固定資産に係る「時価」は、その原型たる米国企業結合会計基準の公正価値と基本的に等しい。しかし、財産評定は利害調整機能を重視するため、企業固有の観点から見積りを行う余地を残し、市場の観点に基づく公正価値と乖離する場合がある。乖離が生じる局面、および評価の観点の相違が評価にもたらす具体的影響を解明した。 そして、公正・衡平な権利分配、事業再建の成功という視点から、Chapter11に比べ、企業固有の見積りが可能なわが国の財産評定に理があることを理論的に示した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、これまで専ら法学・経済学の側面から議論されてきた財産評定を、会計学の視点から論じたことにある。会計基準が倒産法制に及ぼす影響、意思決定有用性や利害調整等の目的の違いが資産評価に与える影響の解明、各制度・学問が裁量的に用いてきた「時価」や公正価値等の概念に係る共通認識の形成は、会社更生法の目的に資する財産評定のあり方を検討するうえで意義がある。また、会社更生法に加え、私的整理を含めた他の倒産法制に係る財産評定にも示唆を与える。倒産法制に係る財産評定いかんにより、利害関係者間の権利分配は改善され、連鎖倒産等の社会的損失が抑制されるため、その検討には社会的意義がある。
|