研究課題/領域番号 |
20K14004
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分09040:教科教育学および初等中等教育学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐原 理 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 准教授 (80445957)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 映像的触覚知 / 美術教育 / 認知多様性 / 映像メディア / NIRS / アファンタジア / V-TISK / Cognitive Science / Aphantasia / Art education / Image media / 映像教育 / メディアアート / 認知 / 認知特性 / 触覚 / 映像デザイン |
研究開始時の研究の概要 |
これまでの研究では、モノクロ映像に彩色する、動きをトレースするなど「映像の操作」を通して得られる映像的触覚知が過去の記憶を刺激し、においや温度などの触覚を再生させることでリアリティーが増強され、対象を深く知覚できる可能性があることを示してきた。そこで、本研究フェーズでは近赤外光脳機能イメージング装置(NIRS)等を用いた認知科学的手法により映像的触覚知の形成プロセスを検証し、映像を通して”対象を観察しつくる”活動が世界の認知に対しより強固なリアリティーを獲得させ、創造的発想・構想や豊かな感性を引き出す傾向にあるのか明らかにする。
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研究成果の概要 |
本研究では, 【映像的触覚知】の定義を基に美術教育の特定の活動によって触覚と視覚を繋げる実践をおこない, 近赤外分光法(Near Infrared Spectroscopy, NIRS)を用いて分析した。その結果, 映像視聴時にも触覚野が賦活するようになることが分かり, 触覚を脳内で生成して鑑賞する能力育成が可能であることが判明した。一方で触覚刺激の脳内生成といった認知能力は個人差が大きく、アファンタジアなどを含め, その認知の多様性も明らかとなった。本研究の成果は多様な認知特性に従って個別最適化した想起方法や思考,表現,鑑賞のプロセス開発の必要性を示唆している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の成果は, 映像メディアに特異な美術教育の授業実践を通して視覚以上に多様な感覚を脳内で賦活して鑑賞する認知能力開発に一定の効果を得られる可能性があると認知科学的に明らかにした点である。また, 心的視覚イメージを想起しないアファンタジアスペクトラムの発見とこれまでの学術的成果の調査は美術教育の方法論を科学的に規定する基盤となりえる。本研究によれば先天的特性に沿わない認知特性開発には大きなストレスがかり教育効果は薄い, むしろ先天的認知の多様性にそって,サポート方法を構築する方が美術教育上の教育効果が大きくなることが予見され, 研究成果は美術教育の方法論を問い直すものである。
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