研究課題/領域番号 |
20K14145
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 (2022) 京都文教大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
谷口 友梨 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (30844980)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 解釈レベル理論 / 事件の発生時期 / 心理的距離 / 集団討議 / 文化的思考 / 判決文 / 量刑判断 / 集団比較 / 文化比較 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、刑事裁判において事件の発生時期から知覚された事件に対する主観的な距離感(心理的距離)が、被告人の処遇決定における一連のプロセスにどのように影響しているのかを明らかにすることである。そのため、(1) 事件に対する心理的距離が集団での討議にもたらす影響と (2) 事件に対する心理的距離が処遇決定に及ぼす影響に文化観がどのように媒介するのかを明らかにする。これらの2つの影響を明らかにすることにより、公正な裁判の実施を行うための方略を低減することを目指す。
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研究成果の概要 |
本研究は,犯罪事件の発生時期から知覚された事件に対する主観的な距離感(心理的距離)が,刑事裁判における被告人の処遇決定の心的プロセスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とするものであった。研究期間の3年間に,3つの調査または実験的研究を行った。その結果,1) 被告人の処遇を決定するために集団討議を実施すると,事件に対して知覚された心理的距離に関わらず,全体的に厳罰的な意見に変化する,2) 実際の刑事裁判において事件の発生時期から裁判の実施までの期間が量刑判断に影響を及ぼしている,3) 知覚者の優勢な文化的思考によって心理的距離の影響の受け方が異なる可能性がそれぞれ示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、解釈レベル理論について集団での意思決定および文化的思考の観点から検討を行ったところ、集団での意思決定においては、心理的距離は影響を及ぼしにくいこと、また優勢な文化的思考によって心理的距離の影響が異なる可能性が示された。これは、これまで頑健に支持されてきた解釈レベル理論の限界と新たな特徴を提起するものであり、今後の社会的認知研究に寄与する知見であると考える。また、事件の発生時期から知覚される心理的距離は、実際の刑事裁判にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。これは、気づかぬうちに不公正な裁判の実施につながる恐れを孕んでいることを示すものであり、社会的意義は大きいと考える。
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