研究課題/領域番号 |
20K14257
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
吉本 早苗 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 助教 (80773407)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 視覚 / 情動 / 感性 / フリッカ / 不快感 / 色覚 / 脳活動 / fMRI / 感情 / 完成 / 画像統計量 |
研究開始時の研究の概要 |
2色を交互に点滅させるフリッカ刺激は映像効果としてよく用いられる一方で、1997年に発生したポケモンショックのように不快感や光過敏発作の原因ともなりうる。本研究の目的は、(1)快・不快感情を喚起させるフリッカ刺激の刺激属性(色コントラスト、時間周波数特性)を心理物理実験により特定すること、(2)感情を喚起させる刺激属性を持つフリッカ刺激観察時の脳活動の特徴をfMRI実験により明らかにすること、という2点である。これらの結果から、映像表現において注意すべき刺激属性が明らかになると共に、動画像による感情喚起に関する機序の解明が期待できる。
|
研究成果の概要 |
本研究では、心理実験と脳活動計測から視覚情報による感情喚起の機序解明を目的とした。まず、2色が時間的に変化するフリッカ刺激への不快感を測定した。その結果、見かけの色差が大きくなるほど不快感が上昇する傾向がみられた。ただし、2色のうち1色が彩度の高い赤色である場合には、色差に依存せず一貫して強い不快感が喚起された。続いて、刺激観察時の脳活動をfMRIで計測したところ、視覚野を含む脳の後頭部の脳活動と不快感に正の相関がみられた。以上の実験結果は、色知覚に関与する視覚情報処理過程で生じた脳活動の強さが不快感情を喚起することや、時間的に変化する鮮やかな赤色は不快感情と特異的に結びつくことを示唆する。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究から、感情喚起に関わる視覚刺激の特徴の一端を明らかにした。とりわけ健常者に対し不快感情を喚起する視覚刺激は、光過敏性発作を誘発する可能性があることが知られている。日本放送協会と日本民間放送連盟による「アニメーション等の映像表現に関するガイドライン」では、子ども向けのアニメ番組が光過敏性発作を引き起こした事例に基づき、鮮やかな赤色の使用を避けるよう注意喚起されている。本研究成果は、人間の視覚特性と感情の繋がりに関する理解を深めるだけでなく、例えばガイドラインにおいて使用を避けるべきとされている「鮮やかな赤色」に明確な基準を設けるなど、映像の安全性の向上に寄与すると期待される。
|