研究課題/領域番号 |
20K14264
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分10040:実験心理学関連
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研究機関 | 愛知淑徳大学 (2022) 立命館大学 (2021) 中央大学 (2020) |
研究代表者 |
花塚 優貴 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 講師 (90867657)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 認知症 / 出来事の記憶 / アイトラッカー / 予測的視線 / エピソード記憶 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではアイトラッカーを用いた視線パターンと注視時間の分析により、[1] 認知症患者の長期的なエピソード記憶について非言語的な指標により評価する。また[2] 認知症患者のエピソード記憶の正確さとその保持期間についてより詳細に検討するため(a)覚えるべき項目数(2・3・4)および(b)時間的な遅延期間(1日後・1週間後・1か月後)の組み合わせからなる9段階の難易度を設定した検討を行う。
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研究成果の概要 |
認知症とは「いつ・どこで・何をしたか」といった個人が経験した出来事に関する記憶(エピソード記憶)に問題を抱える障害であると同時に、言語理解に困難を抱える事例も報告されている。本研究では「言語理解の困難さが認知症者の記憶能力を過小評価しているのではないか」という観点から、アイトラッカーを用いて非言語的に認知症者のエピソード記憶についての検討を行った。その結果、認知症者が言語的には自身の記憶内容を想起できないにもかかわらず、予測的視線という非言語的な指標において、潜在的に出来事の記憶を有することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
認知症患者の記憶機能を調べる従来の検査法は対象者の言語的な反応を指標としたものが多く、言語機能が低下している患者においては記憶機能を過小評価してしまう可能性があった。しかし視線という非言語性の指標を用いることで言語機能に依存せず、言語機能と記憶機能を区別して評価することが可能である。本研究ではこのような視点から、これまでエピソード記憶を保持できないと考えられてきた認知症者でも、言葉で表現することに制限があるだけで、日常的な記憶を有していることが示唆された。この成果は認知症の治療(リハビリの方針決め)や介護(日常生活における接し方)をするうえで有益かつ前向きになれるものであると考えられる。
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