研究課題/領域番号 |
20K14298
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分11010:代数学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
杉山 真吾 日本大学, 理工学部, 助手 (70821817)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 保型形式 / 保型表現 / L関数 / 下方にある零点 / ランダム行列理論 / 重み付き密度予想 / 零点分布 / Dirichlet L関数 / 零点 / low-lying zero / ランダム行列 / 密度予想 / 重みつき密度予想 / one-level density / L関数の零点 / Hilbert保型形式 / 対称べきL関数 / 対称2次L関数 / Jacquet-Zagier型跡公式 / 跡公式 / 量子確率論 |
研究開始時の研究の概要 |
跡公式は, 保型形式の空間の次元や保型形式のフーリエ係数の情報を引き出す強力な道具として, 整数論・表現論の双方の観点からこれまで研究されてきた. 楕円保型形式(一変数)のHecke作用素に対する跡公式はZagierによってパラメーター付きの公式に一般化され, 対称2次L関数の解析に応用された. 本研究では, 多変数保型形式の跡公式をパラメーター付きに一般化することを目的とする. そして, 保型L関数に関する整数論的問題へ応用する. 研究遂行のために, 量子確率論と呼ばれる異分野を整数論に持ち込むことにより, 「明示的な計算を回避して明示公式を導出する」という手法を開拓する.
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研究実績の概要 |
主にL関数の族の零点とランダム行列理論の関係について研究をおこなった。昨年度に続き、Dirichlet L関数のような次数1のL関数の族に対する零点分布についてAde Irma Suriajaya(九州大学)とともに研究を継続しておこなった。また今年度は、国内外のさまざまな研究集会で講演をして、自身のこれまでの研究内容を再検討するとともに多くの研究者と研究討議を重ねることができた。さらに今年度はシュワルツ微分を用いた同変関数に関する気づきも記事としてまとめた。 また、日本大学理工学部にSimon Marshall氏(University of Wisconsin-Madison)を招聘し、保型形式とL関数の解析的な研究、主にsubconvexityやsup normの問題について研究討議をおこなった。2022年10月~11月には第23回整数論オータムワークショップを開催し、保型形式およびL関数の解析数論的アプローチについて研究討議をおこなった。この研究集会では特に一般Ramanujan-Petersson予想に関する部分的結果を導出するための既存の手法を理解することができた。また2023年3月には国際研究集会Number Theory in Tokyoを開催し、保型形式やガロア表現などのさまざまな整数論の分野の数学者を国内および海外から招聘し、整数論の最新の研究について動向を探った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は国際研究集会を2件開催し、講演を多くおこなうことで、多くの研究者との議論が可能となった。そのためL関数の零点分布とランダム行列理論に関する研究のための情報は十分に収集できたといえる。今年度に得た研究手法は、L関数の族の零点とランダム行列理論の新たな関係の追究に今後有用であるといえる。さらに国際研究集会を2件開催したことにより、自身の研究のみならず国内の整数論の研究の促進にも大きく貢献したといえる。以上によりおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得た情報をもとに、引き続きL関数の族の零点とランダム行列理論の関係について研究を進めていく。まずは扱いが比較的容易である次数1のL関数の族から検討していく。代数体上のL関数だけでなく関数体上のL関数についても研究の範囲を広げて、代数、解析、幾何のさまざまな方面からのアプローチを検討する。跡公式を用いて保型L関数の特殊値による重み付き零点分布の研究もおこない、次数が2以上のL関数の場合も検討していく。量子確率論を用いた研究手法の開拓も引き続きおこなう予定である。
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