研究課題/領域番号 |
20K14409
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分13030:磁性、超伝導および強相関系関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅井 晋一郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (00748410)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 酸素分子 / 磁性 / 中性子散乱 / 金属錯体 |
研究開始時の研究の概要 |
多孔性金属錯体はその気体貯蔵特性から産業的にも期待の大きい物質群であるが、一部の錯体では細孔内に物理吸着した酸素分子が規則的に配列し、三次元的な酸素分子の超結晶(酸素分子磁性体)を形成する。酸素分子磁性体はファンデルワールス力によって結合したやわらかい格子をもつことが特徴である。本研究では新しい酸素分子磁性体を探索し、それらのスピンと格子の強い相関によって起こる新奇な現象を発見、解明することを目的に、ホスト錯体試料合成システムを新たに構築し、磁性研究を行う。さらに、重水素化試料を用いた中性子散乱研究を行い、スピンと格子のダイナミクスを調べる。
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研究実績の概要 |
本研究では、酸素分子磁性体におけるスピンと格子の強い相関によって起こる新奇な現象を発見、解明することを目的に、新規酸素分子磁性体を探索するための錯体合成システムを構築する。さらに、磁性の起源に興味がもたれるものに関してはホスト錯体の重水素化を行い、中性子散乱実験を行うものである。 今年度は、重水素化された酸素分子磁性体dCPL-1の偏極非弾性中性子散乱実験をJRR-3に設置されたPONTA分光器で行った。実験では試料への酸素の導入、脱離が可能な専用の試料インサートを設計、作製し使用した。中性子を散乱面に垂直方向に偏極するセットアップで行った。今回は過去の実験において散乱強度の温度変化が特徴的であることが調べられた磁気励起に対してスピンフリップ散乱とノンフリップ散乱の違いを調べた。これは核磁気干渉項の観測に対応する。測定温度は3 Kと60 Kで行い、どちらの条件でも磁気励起の観測には成功したが、誤差の範囲内でフリップの有無による散乱強度の違いは見られなかった。さらに、オークリッジ国立研究所で異なる偏極セットアップで実験を行うことにした。先方の冷凍機のサイズに合わせた専用のインサートを設計、作製して現地へ輸送し、2023年3月に現地で試料への酸素の吸着試験を行い、問題ないことを確認した。 また、従来の酸化物磁性体の研究としてハニカム格子反強磁性体CaCo2Te2O6の粉末中性子回折実験をJRR-3に設置されたHERMES分光器で行った。転移温度15 K以下で磁気反射を観測し、それらの結果を元に磁気構造解析を行いその結果を学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の最後の実験としてオークリッジ国立研究所での重水素化CPL-1試料の偏極中性子散乱実験を予定していて、3月に現地での実験装置の動作確認の後すぐに実験予定であったが、原子炉のトラブルにより実験が延期となってしまい、実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
中性子実験は当初の予定通りオークリッジ国立研究所で実験を行う予定である。実験準備は完了しているので、先方の研究用原子炉が復旧しビームタイムが再決定されれば実施可能である。そして偏極中性子散乱の結果をまとめて学会などで発表を行う。
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