研究課題/領域番号 |
20K14493
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分15020:素粒子、原子核、宇宙線および宇宙物理に関連する実験
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
平井 隆之 千葉工業大学, 惑星探査研究センター, 研究員 (30737888)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 圧電性PVDFフィルム / 固体微粒子 / 宇宙塵 / 超高速衝突 / 自由落下衝突 / 表面波 / 惑星間ダスト / 圧電素子 / 微粒子衝突センサ / 太陽系探査 / 小天体 |
研究開始時の研究の概要 |
太陽系内には彗星や小惑星から放出された固体微粒子(惑星間ダスト)が広く分布している。本研究では惑星間ダストの分布計測に用いられる圧電性PVDFフィルムセンサについて、ダスト質量の独立推定を可能にする新しい信号処理方法の確立を目指す。具体的には、惑星間ダストを模擬した微粒子の衝突実験を実施し、先行研究から示唆されているダスト質量(直径)にのみ依存する信号周波数成分の発生メカニズムを明らかにする。さらに得られた知見を実際の搭載機会を視野に入れた信号処理回路開発に適用し、試作機の完成までを目標とする。
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研究実績の概要 |
本年度はCOVID-19の直接的影響(実験の中止など)は受けずに実験を実施することができた。ただし、実験施設側のマンパワーリソースの減少やそれによる加速微粒子の速度出しノウハウの喪失、衛星プロジェクト搭載観測装置の較正実験を優先した実験装置利用など、様々な間接的制約・影響があった。 国内実験においては、2022年11月16日に無事打ち上げられたNASAの新型ロケット「SLS」に搭載されたダスト検出器「CLOTH」の較正実験において、これまで困難であった10ミクロンオーダーの微粒子を単発でダスト検出器に衝突させる方法を確立することができた。昨年度の報告のとおり、単発衝突手法の鍵となる技術そのものは確立できていたが、散弾で撃ち出した微粒子群がストッパー板に衝突する際に発生する振動ノイズが測定信号に混入していることが発覚し、本年度はその除去方法の検討に時間を費やした。結果的にダスト検出器をチェンバー上部から吊るし、ストッパーとの距離も従来よりも大きくするなどして、振動ノイズを十分に低減することができた。その結果、従来想定していたよりも検出感度が高いことがわかり、より多くダストを検出できうることが示唆された。 米国MITでの実験では、昨年度の実験体制再構築を進め、安定的にデータ取得できる状況までたどり着いた。しかし、COVID-19以前の超高速度を達成できない状況が続いている。これはレーザーの出力や集光レンズの設置距離といったノウハウが、先方のスタッフや学生の異動により失われてしまったことが大きく影響していると考えられる。 成果発表としては上述のダスト検出器の較正実験結果等で4件の国内発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題とは別に参画している衛星プロジェクトのエフォート率が継続的に大きいことが、研究の遅れの大きな理由である。また、MITでの実験に2年 のブランクが空いてしまったこと、それにより先方のマンパワーリソースが減少したことも影響している。
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今後の研究の推進方策 |
他プロジェクトのエフォートの軽減が見込めないことから、比較的簡便に実験室で実施可能な自由落下衝突実験を主体とする方策を検討している。それにより衝突速度域はメートル毎秒オーダー以下に限定されるが、月面有人探査などで懸念されているダストの舞い上がりと同じ速度域であるため、そのような分野での貢献が可能と期待している。
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