研究課題
若手研究
現在の物質優勢宇宙を説明するためには標準理論を超えたCP対称性の破れの存在が不可欠である。原子核の中性子吸収反応ではCP対称性の破れが大きく増幅される可能性が示唆されており、この現象を利用した未知のCP対称性の破れ探索実験が計画されている。本研究ではCP対称性の破れ探索実験のための熱外中性子偏極用の大型3Heスピンフィルターの開発を行う。
本研究では原子核の中性子吸収反応を用いたCP対称性の破れ探索に不可欠な中性子ビームのスピン偏極デバイス: 3Heスピンフィルターの開発を行った。 3Heスピンフィルターは偏極3He原子核の中性子吸収反応を用いて中性子ビームを偏極させるデバイスであり、複数個の3Heガスセルを作製した。3Heガスを偏極するためのレーザー装置をJ-PARCに構築して80%程度の高い3He偏極率を達成できることを確認した。本装置を用いて原子核が偏極中性子を吸収した際に放出されるγ線の角度分布の測定、偏極Laと偏極中性子のスピン依存する断面積の測定などに成功した。
開発した3Heスピンフィルタを用いて世界最大強度を誇るJ-PARCの中性子ビームを幅広いエネルギー領域において偏極することに成功した。本デバイスを用いて測定した原子核の中性子断面積のスピン依存性から139LaにおけるCP対称性の破れの増幅率を決定することに成功した。これはCP対称性の破れ探索に対して非常に大きなマイルストーンである。本デバイスはCP対称性の破れ探索のみならず中性子ビームを用いた広範な科学領域にわたり高い有用性を持つことから、今後様々な中性子実験に応用させることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 5件、 招待講演 9件)
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