研究課題/領域番号 |
20K14592
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分17050:地球生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉屋 一美 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (00636897)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | リン / スフェリュール / バーバートン緑色岩体 / Cr-Ti同位体比 / PGE / 初期地球 / Cr-Ti安定同位体比測定 / 化学形態 / 高精度Cr-Ti安定同位体比 |
研究開始時の研究の概要 |
地球初期に形成された堆積岩はわずかに現存している。本研究では、初期地球の表層の堆積岩からリンを含む鉱物を探し、その分布状態と濃度を測定する。さらにリンの化学形態を測定することで、初期地球に存在したリンを含む鉱物を特定する。さらに最新の高精度Cr-Ti安定同位体測定を組み合せることで、リンの供給源が宇宙からのものであるか地球上で形成されたものかを検証する。そのため、最古の隕石衝突の痕跡が残る南アフリカBGBのスフェリュールを含むレキ岩層とその周囲の堆積岩を用いて、含まれるリン鉱物のX 線吸収微細構造(XAFS)による化学形態の分析と高精度安定Cr-Ti同位体測定を行う。
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研究成果の概要 |
リンは生命の起源を知る上で重要な元素のひとつであり、生命誕生に携わったリンが宇宙からもたらされたとする説が有力である。本研究は、最も古い隕石衝突の痕跡が見られる南アフリカ、バーバートン緑色岩体に着目し、隕石により形成されたスフェリュールを用いて、その中に含まれるリン酸塩鉱物に対して詳細な観察を行った。その結果、リン酸塩は複数の種類に分類されることと、クロムスピネルと共存するリン酸塩にはアルミを含むものがあることが分かった。また、スフェリュール内のクロムスピネルの中には白金のメルトインクルージョンを含むものが見つかった。さらに、クロムとチタンの同位体比を用いることで隕石の種類の特定を試みた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
学術的意義としては、先行研究では太古代のリンの存在度は平均して低く、該当地域のリン酸塩も続成初期に形成されたものと考えられていた。本研究により、複数の形成過程があり、一部はインパクトの衝撃時の非平衡な状態を保存しているものがあることが分かった。また、堆積環境により同じ時代でもリン酸塩の存在度や存在形態が大きく異なることが判明した。リンについての研究の多くは顕生代初期に集中していたが、本研究により太古代にもリンが多く存在した環境があることが分かった。これは初期生命の進化などの分野にも波及する結果であると考えられる。
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