研究課題/領域番号 |
20K14702
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分20020:ロボティクスおよび知能機械システム関連
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研究機関 | 九州大学 (2021-2022) 立命館大学 (2020) |
研究代表者 |
有田 輝 九州大学, 工学研究院, 助教 (60843993)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 130千円 (直接経費: 100千円、間接経費: 30千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 近接覚 / 衝撃緩和 / 接触遷移制御 / 力制御 / 衝撃力緩和制御 / 近接覚センサ / 赤外反射型センサ / センサスキン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではロボット全身と物体との接触を制御する方法を究明する。基本となる発想は“仮想的な外装”によるロボットの保護である。 仮に瞬時に膨張収縮する理想的な風船で全身を覆えば、ロボットと物体を接触させないようにできる。それとは逆に接触したい場合は、風船を小さくすればよい。これをロボット全身の赤外光反射型センサを用いた制御系によって具体化する。センサが物体を検出した時の出力を“仮想的な反力”として扱うことで、センサの検出領域を仮想的な外装とみなす。この仮想的な外装の大きさは赤外光の明るさ調整によって光速に膨張収縮できる。 本研究はこの発想に基づく手法を特に制御の観点から検討する。
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研究実績の概要 |
昨年度に予備実験を行った衝撃緩和制御についての定量的な評価を行った.本手法によって,一定速度で接近する対象物との衝突によって発生する衝撃力を75%程度削減可能であることを確認した.さらに,本制御手法は理論上,対象物の反射率の影響を受けないため,異なる色で着色した対象物を用いて比較実験を行った.結果として,極端に小さな反射率の対象物の場合を除いて同等の衝撃緩和効果を発揮できることを確認した. また,本手法を拡張して接触後に一般的な力制御に遷移する制御手法を考案した.制御則の切り替えなく作業目的に沿った制御を実現可能な本手法の開発によって,本研究の計画で掲げた三つの目標のうちの一つを達成した.さらに,本手法を解析することで,接触の前後で衝撃緩和制御から接触力制御へ遷移する際に,意図せぬ接触力が生じずに滑らかな遷移を実現する制御パラメータの決定方法を明らかにした. 考案した制御手法の評価を実施するために,1自由度実験用システムを導入した.本装置は制御対象であるプラントと衝突する対象物の両方を独立に制御可能である.駆動部の摩擦が小さくなるように工夫しており,逆可動性を必要とする力制御の実装にも向いている.また,制御周期は最大10 kHzであり,反射的な動作を行う制御も実装できる. 導入した実験装置を用いて,提案した手法の定量的な評価を行った.本手法では,一定速度で接近する対象物との衝突による衝撃力を76.8%削減した.また,同じ手法によって,軌道追従しているプラントの経路上に固定された障害物との衝突による衝撃力を84.7%削減した. これらの成果をまとめた論文は現在,国際学術雑誌の査読を受けている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度を残して,計画していた目標のすべてを達成した.その一方で,成果をまとめた論文2報が査読を受けている段階である.研究業績として確立されていないことから,上記進捗状況が妥当であると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
査読中の論文の対応を行う.今後は,開発した手法の応用について検討すべきであるが,本研究計画の目標達成とともに研究費用をほぼ使用したため,以降の検討は次の研究課題にて実施する.
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