研究課題/領域番号 |
20K14803
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分22010:土木材料、施工および建設マネジメント関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
横山 勇気 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 日本学術振興会特別研究員(PD) (00847080)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | コンクリート / 耐久性 / 表層品質 / 養生 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者はこれまでの研究から,従来の考えとは乖離する2つの現象(養生により生じる表層品質の差が材齢の進行により減少する現象,材齢の経過により表層部の強度と物質移動抵抗性の相関が向上する現象)を発見した.これら現象の機構の理解は構造物の耐久性確保には必要不可欠と考えられる.本研究では,屋外暴露された実構造物模擬供試体を用いた検討や熱力学的平衡計算,表層品質の試験の継続的実施により,上記の目的を達成するとともに,得られた知見を基に,合理的な耐久性確保の実現に向けた設計手法の提案にも臨む.
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研究実績の概要 |
本研究では,申請者自らが発見した「養生方法によるコンクリートの表層品質の差異が材齢の経過に伴い減少し,数年後には明確な差が表れなくなる現象」と「材齢の経過により表層部の強度と物質移動抵抗性の相関が向上する現象」の機構や発生条件の解明を目的としている.これらの現象は,当該分野の従来の考えとは乖離するものであり,鉄筋コンクリート構造物の耐久性を適切に確保するためには,現象の機構や影響を解明する必要がある. 本研究の申請時点ではコンクリート表層部の透気性に加え,吸水性と空隙構造の観点からも養生による表層品質の差異が減少していることを明らかにしていた.その結果を踏まえ,令和2年度は養生による表層品質の差異が縮小する現象の機構を解明する研究を遂行する予定であった.しかしコロナ禍の影響を受け,実環境下にある供試体から試料を採取することが困難となり,その代わりに表層品質を適切に評価するために重要となる含水状態と空隙構造の関係性を明確にすることとした. 申請者が所属する研究室が保有する実構造物模擬供試体の測定結果を基に分析した結果,含水状態と空隙構造が表層品質の評価指標のひとつである表層透気係数へ及ぼす影響の程度はセメント種類により異なることを明らかにした.さらに本分析結果を踏まえ,含水率の影響を顕著に受けやすい竣工時点の測定結果であっても,含水率の影響を取り除いた表層透気係数を算出する式を提案し,研究成果を査読付きの海外ジャーナルへ投稿した. 加えて,構造物の代表的な劣化指標である水の浸透深さの測定方法に関する研究も実施し,種々の測定方法による浸透深さの差異を明らかにするとともに,水の浸透深さと非破壊により得られる透気性や吸水性の相関を実構造物模擬供試体の結果を用いて分析し,従来の非破壊試験によって水の浸透深さが予測可能であることを示唆する結果を得た.本研究成果は国内の査読付き論文へ投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画とは異なる内容の実験を遂行せざるを得ない状況にあったものの,鉄筋コンクリート構造物の耐久性を評価するうえで重要となる表層品質へ影響を及ぼす含水率と空隙構造の関係性に関する分析を実施し,竣工時点であっても含水率の影響を取り除いた表層透気係数の評価を可能とする式を提案するとともに,海外ジャーナルへも研究成果を発表できたことに加え,表層部の強度と表層品質や中性化速度係数の関係性に関する分析も並行して進めており,現在,研究成果の論文の投稿を準備している段階であることから,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響を受け,現場での調査や実構造物からの試料採取の実施は難しい状況にあるが,申請者が所属する研究室が保有する調査結果や令和2年度に得られた分析結果を踏まえ,鉄筋コンクリート構造物の合理的な耐久設計に向けて,表層品質に関する各試験結果と耐久性の評価指標である中性化速度係数の関係性を明確にすることで,耐久性の適切な確保に向けた新たな設計手法の提案を目指す.
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