研究課題/領域番号 |
20K14985
|
研究種目 |
若手研究
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分25010:社会システム工学関連
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
前田 佳孝 自治医科大学, 医学部, 講師 (40754776)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | インシデントレポート / 医療安全 / 医療事故調査 / 事故再発防止 / 事故原因究明 / 安全教育 / 医療安全教育 / 再発防止 / 原因究明 |
研究開始時の研究の概要 |
医療事故の原因を科学的に調査し、具体的な対策を取るには、発生した事実の正確な把握が最重要である。一方、多くのインシデントレポートは、事実に関する記載が不足したり、主観や意見が混在したりしており、事実の把握が難しい。また、これらレポートの不足部分を同定し、追調査できる人材が足りない上に、近年、レポートの報告数が増加しており、レポートを有効活用できていない医療機関が多い。そこで、本研究では医療事故に関する事実の収集精度と効率を高めることを主目的とする。具体的には、事実をレポートに正確かつ十分に記載するための指標を、事故の種類別に明確化する。また、レポートの不足部分の同定を支援する手法を確立する。
|
研究成果の概要 |
本研究は医療事故に関する事実の収集精度の向上を目指した.まず,事実をインシデント報告(IR)に正確,十分に記載するための指標(5W1Hや目撃した事・物を含む,事象を時系列で箇条書きする,各文に主語を含む等)を明確にした.次に,指標が実際のIRの情報量と質に与える影響を検証した.結果,研修医のIRで,患者,薬品,機器,報告者の行動,事故後の対応,本来の業務手順に関する幅広い情報が提供された.また,IRを基に当事者に行われる事実収集のヒアリングに,指標が与える影響を実験で検証した.結果,指標を用いたIRによって,調査者による事故要因を深堀する質問や,人,物,環境,管理に関する幅広い質問が増加した.
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
事故の再発防止に関する多くの研究は,原因追求・対策立案の手法に関するものである.これらは事実情報を十分に得たことを前提に分析される.現状の医療現場では事実情報が不十分なケースが多いが,その改善を目的とした研究はほぼ存在せず,本成果は学術的意義がある.また本成果により,1)事故当事者がIRを記載しやすくなり,事実収集の質と量が向上する点,2)事故調査者がIRを基に不明点を把握しやすくなり,事実収集のヒアリング精度と効率が向上する点,3)事実収集の効率が向上し,より多くのIRを有効活用できる点が期待される.本成果は他施設への汎用性も高く,医療全体の安全と質の向上に寄与し,社会的意義が大きい.
|