研究課題/領域番号 |
20K15076
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分27010:移動現象および単位操作関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
貝出 絢 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50773074)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 糸曳き / 粒子沈降防止 / 粘弾性 / レオロジー / スラリー / 分散系 / 複雑流体 / 曳糸性 / 沈降安定性 / オイル / 増粘・ゲル化剤 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、流体が示す糸曳き(いとひき)という現象について、その発現に関係する力学的物性のデータを蓄積し、両者の相関性を考察するとともに、固体を含む液(分散系)の降防止に及ぼす糸曳きの影響について明らかにすることを目的とするものである。このため、溶媒に油類を用い、これに分子構造を系統的に変えたオイル増粘・ゲル化剤を添加したサンプルを使用し、曳糸性とレオロジー測定の結果を比較、考察する。さらに得られた知見を分散系の降安定性の向上や評価手法に応用しようとするものである。
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研究実績の概要 |
本研究は、流体が糸を曳く性質について、レオロジー特性と関連付けながら考察することを目的としている。また糸をわずかに曳くという性質が、固体を含む液(分散系)の沈降防止に役立つことが予想され、そのための知見を得るために、以下の実験を行った。 溶媒としてドデカン、イソステアリン酸イソステアリル等の油類に低分子オイル増粘・ゲル化剤:ピロメリッド酸テトラカルボキサミド(PMDA-R)を溶解させたものを試料とした。この化合物は、ベンゼン環の周囲に4つのアミド基を有しており、その末端にアルキル基が配位している。4つの側鎖のうち、結晶性の異なる2種類のアルキル基を導入することで、溶解性およびレオロジー特性を変えることができる。最大で1wt%の化合物を溶解させて調製した試料に対して、レオロジー特性(平衡流動特性、動的粘弾性)を測定し、さらに本研究で新たに試作した曳糸性測定装置によって、糸曳きを評価した。これにより、糸曳きのパターンが複数存在することを明らかにした。また、それらを粘弾性と関連付けて整理した。さらに、化合物が油中で形成する内部構造と化合物の結晶性を関連付けて考察した。 実験により、化合物を得る際の合成条件(スケール、温度、加熱時間等)の違いによって組成が変わり、結果的にレオロジー特性が変わったり、もしくは組成がほぼ同じであっても、撹拌の状況(撹拌機の違い)によっては、糸曳き挙動に顕著な違いが見られることが明らかになった。このようにロットや製造時期の違いについて、添加剤の効果を明らかにする手法として、粘弾性の測定と今回作成した糸曳きの評価を合わせて行っていく必要性を指摘した。本実験の成果を別のオイルスラリーに適用した場合に、糸曳きの効果と粒子の沈降安定性について、一定の効果が見込まれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症により、大学の規制もあり、装置の試作が遅れたことに加え、国際会議に出席予定であったが、それも延期になり、対外的な発表が遅くなり、現在に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
データはほぼ取得でき、現在論文を執筆するための解析をしている。また、2023年5月に開催される国内の学会や国際会議に参加し、執筆のための助言をうかがう予定である。
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