研究課題/領域番号 |
20K15206
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分31010:原子力工学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永田 光知郎 大阪大学, 放射線科学基盤機構附属ラジオアイソトープ総合センター, 助教 (10806871)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | キレート剤 / ラジウム / 安定度定数 / アルファ線 / バリウム / アクチニウム / 放射化学 / 錯体化学 / 環状エーテル / アルカリ土類金属 / 同位体化学 |
研究開始時の研究の概要 |
アルファ線を利用してがんを破壊する治療法は極めて高い治療効果を与える。特にラジウム-223はがんの治療薬として既に国内の病院で患者に投与されている。一方、ラジウム二価イオンに適合し治療へ応用が可能なキレート配位子がないため、現状では塩化ラジウムの形で用いる以外の方法がない。 本研究ではラジウム二価イオンに対して高い親和性を持つことが期待できるホスホン酸型アームを有する配位子を新規に設計、合成する。続いて、ラジウム二価イオンを含むアルカリ土類金属イオン錯体を合成し、その錯体の安定度を評価する。
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研究成果の概要 |
新規に合成した2種類の配位子を用いてアルファ線核医学治療に用いるアクチニウムと同族のランタン錯体、並びにラジウムと同族のバリウム錯体を合成した。アニオン性配位子を用いると、ランタン錯体は既知の生体応用が可能なランタン錯体よりも高い安定性を有していることが判明した。加えて、低配位子濃度でアクチニウム錯体の合成にも成功した。一方、中性配位子を用いるとバリウム錯体がランタン錯体よりも熱力学的に安定であった。この安定性の逆転は分子内相互作用に起因すると考えられ、この原因を明らかにすることは安定なラジウム錯体の合成に繋がる。今後はイオン半径の異なるカチオンの錯体も合成し、より詳細な解析を行いたい。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は不安定な錯体を与え易いラジウムやアクチニウムなどの巨大なカチオンを水中で安定に捕捉する分子の開発を行っている。このような巨大なカチオンの配位数や結合距離など錯体化学の分野でも未知の領域であり未解明な部分が多い。加えて、これらを安定に捕捉する手法を確立することができれば、アルファ線を放出する放射性同位元素を安全に投与でき、副作用の少ないがん治療法を世界に普及させることにも繋がると考えている。
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