研究課題/領域番号 |
20K15257
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分33010:構造有機化学および物理有機化学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
福井 識人 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (70823277)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 有機化学 / 有機電子材料 / 有機半導体 / 分子設計 / π共役分子 / 可溶性前駆体 / 湾曲 / 挿入 / 構造有機化学 / 硫黄 / 非平面 / 機能性色素 / ヘテロ元素 |
研究開始時の研究の概要 |
湾曲したπ共役分子は三次元的なπ電子の広がりや高い溶解性などの特徴的な性質を示す。これらの特性は機能性有機材料創出の観点から重要であるが、機能発現には置換基の導入による電子状態の制御が必要となる。一方、ヘテロ元素を骨格に組み込めば、周辺置換基に頼らずとも電子状態を調節できる。しかし現在、ヘテロ元素含有湾曲π共役分子の設計は「既存の湾曲分子の炭素をヘテロ元素へ置換する」という戦略に依存している。これに対して本研究では、湾曲π共役分子の新たな設計指針の構築を狙い、「平面π共役分子へのヘテロ元素の挿入」という指針を掲げ、新規機能性分子の創出を目指す。
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研究成果の概要 |
特異な物性を示すπ共役分子の創出は機能性有機材料創出の観点から重要である。本研究では「分子骨格内部への元素の挿入」という独自の視点を掲げ、構造的・電子的に新規な湾曲π共役分子の創出を行った。具体的には、(1)硫黄挿入型ペリレンビスイミドの創出と有機半導体作製用の可溶性前駆体としての活用や(2)炭素挿入型ペリレンビスイミドの開発を実施した。加えて、本研究の過程で偶然にも大気化で動作する新たなn型有機半導体材料の創出にも成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本成果は「元素の挿入」という独自の分子設計指針が新物質創出に効果的であることを実証している。これは分子設計という材料開発の根本原理における新たな物質探索空間の拡張を意味している。ここに学術的な意義がある。 加えて本研究を通して開発した「硫黄挿入型ペリレンビスイミド」は、プラスチックなどのフレキシブル基盤上に有機半導体薄膜を作製する基盤技術となり得る。これはウェアラブルデバイスの実装の鍵であり、将来的なスマート社会の実現にも貢献しうる技術である。ここに社会的な意義がある。
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