研究課題/領域番号 |
20K15358
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分35030:有機機能材料関連
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
山下 侑 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, NIMSポスドク研究員 (80847773)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 有機半導体 / 高分子半導体 / 化学ドーピング / 仕事関数 / 仕事関数制御 / ダイオード / オーミック接合 / 光電変換素子 |
研究開始時の研究の概要 |
電極の仕事関数は電子素子や太陽電池・発光ダイオードなどの光電変換素子の特性に重大な影響を及ぼすことが知られている。仕事関数や伝導度、透明性の制御が可能である電極材料が待望される中、近年に化学ドーピングされたπ共役高分子が注目されつつある。本研究ではπ共役高分子とドーパント材料を分子レベルで設計し、多結晶白金をも超える5.8 eVの高仕事関数を有する高分子電極の実現を目指す。続いて、この高分子電極と様々な機能性材料との接合界面におけるオーミック性を電気伝導・電子スピン共鳴・光電子分光の手法によって検証する。さらに高分子電極のデバイス応用も検討する。
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研究成果の概要 |
本研究では高仕事関数電極として機能する、p型化学ドーピングされた高分子半導体材料を開発した。光・電子素子の特性向上において重要である仕事関数は多結晶白金を超える5.7 eVまでの値を実現した。課題であった大気不安定についてもドーパントイオンの嵩高さや、高分子とイオンの超分子共結晶構造に着目することで著しく改善した。さらに、比較的大気安定なn型ドーピング手法の開発にも成功し、3.9 eV程度の低仕事関数を有する高分子材料も実現した。ドーピングと積層構造作製手法を組み合わせることでダイオード素子の動作も確認しており、本研究はドーピングを用いた高性能な光・電子素子の実現に貢献すると期待している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高分子半導体を含む有機半導体は低コストな溶液プロセスによって大面積な光・電子素子を作製可能であり、今後の情報化社会を支える半導体材料として注目されている。有機半導体による素子は真性半導体状態である中性分子を用いて作成されることが多く、無機半導体素子に見られる高度なドーピング制御は実現してない。本研究は高分子半導体を化学ドーピングすることで高仕事関数や低仕事関数を有するドープ薄膜を実現し、素子作製に十分な大気安定性を担保できることを明らかにした。本研究の手法を用いた高性能な光・電子素子の研究が進展することにより、低コスト・高性能な半導体素子の実現に寄与すると考えられる。
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