研究課題/領域番号 |
20K15424
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分38010:植物栄養学および土壌学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
反田 直之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (10816292)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 植物栄養学 / シロイヌナズナ / トライコーム / ホウ素 / 数理モデル / シミュレーション / 輸送体 / 栄養輸送 / 食害 / 植物栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
植物の根の表皮には根毛を形成する細胞としない細胞が存在する。根毛は根と外界との接触面積を増大することで水分や栄養の吸収に寄与していると広く知られているが、なぜすべての表皮細胞が根毛を形成して表面積を最大化しないのかは分かっていない。本研究ではシロイヌナズナを用いた実験と数理モデルから、根毛を形成しない細胞の意義を明らかにする。並行して、葉の毛状突起特異的に発現するホウ素輸送体の機能解析を行う。ホウ素は細胞壁の材料であるが、組織の末端にあたり行先のない毛状突起にホウ素輸送体が発現する意義は不明である。その解明を通して、生物におけるホウ素の未知の役割を探る。
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研究成果の概要 |
植物の根毛細胞と非根毛細胞の栄養吸収・輸送における役割を検証するため、輸送システムの特性解析を行った。その結果、根毛細胞と非根毛細胞の形態的な特徴、特に外面と内面の面積の違いが、物質の吸収・輸送において重要な要素であり、ホウ素の輸送においては各細胞でホウ素輸送体の発現強度が異なることが、ホウ素の分布を決定する重要な因子であることを理論的に明らかにした。また、葉の表皮の毛状突起に特異的に発現するホウ素輸送体の解析から、末端組織である毛状突起の表面にホウ素の輸送体が存在する意義の検証を行った。その結果、植物が吸収したホウ素が、昆虫による食害に対する抵抗性に影響を与える可能性を示唆する結果を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は数理生物的な解析より、根毛細胞と非根毛細胞の形態的な違いが、物質の吸収・輸送に影響を与えており、各細胞において輸送体を異なる強度で発現させることが栄養の分配を空間的に制御する上で重要であることを、シロイヌナズナの根におけるホウ素の輸送をケーススタディとして理論的に示した。これは根の形態的特徴と輸送システムの特性の関係を明らかにした点で術的な意義を持つとともに、食糧生産を支える植物の栄養獲得の仕組みを理解する上で重要な知見である。また本課題で得られた、植物が吸収したホウ素が昆虫に対する抵抗性に寄与するかもしれないという知見は、虫害防除における応用の可能性を持つ農業的にも重要な知見である。
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