研究課題/領域番号 |
20K15562
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
向井 裕美 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70747766)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 化学生態 / 相互作用 / 菌類 / 生物防御 / 寄生蜂 / 化学生態学 / 生物的防御 / 三者間相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では,菌類,菌食者,菌食者の天敵,の三者間相互作用の実態解明を可能にするモデル系を提示し,菌食者の天敵寄生バチを利用した菌類の生物的防御システムを初めて実証することを目的とする。シイタケ菌,シイタケ害虫であるキノコバエ,寄生バチを対象として,1)菌類による匂いを利用した寄生バチの行動操作を実証し,2)菌食性昆虫を宿主とする寄生バチの化学感覚特性を解明する,という二段階のアプローチにより課題を遂行する。これにより,植物と菌類をめぐる生物間相互作用の統一的な理解が導かれ,生食連鎖の知見を基盤とした腐食連鎖内における生物間相互作用研究の発展を推し進める。
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研究成果の概要 |
本研究課題では,シイタケ菌,菌食性キノコバエ,その天敵寄生バチを対象として,菌類による対菌食者防御システムの解明を目指した。寄生バチは,シイタケ菌糸やキノコバエの食害を受けた菌糸の匂いに誘引される。シイタケ菌糸は物理的損傷を受けると,植物でも報告されているモノテルペンアルコール類などの揮発化合物を増加させた。キノコバエの被食により,さらに菌類特有の化合物(未同定)が増加することもわかった。これら化合物に対して,寄生バチは触角の電気生理学的応答を示した。シイタケ菌は植物と同様の物質に加え,菌類独自の物質を併用して菌食性昆虫の天敵寄生バチを誘引し,食害を抑制している可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,植物と菌類で共通のメカニズムにより寄生バチを利用した防御戦略が獲得されている可能性を示すものであり,界を超えた生物の収斂進化の理解を推し進める新たなモデル系となり得る。植物で既知の防御戦略概念や理論を菌類にも適用可能とし,植物と菌類をめぐる生物間相互作用の統一的な理解,及び腐食連鎖内における生物間相互作用研究の飛躍的な発展が,今後期待される。また菌類をめぐる生物間相互作用における行動生態学・群集生態学的知見を科学的に解明することで,土着性天敵寄生バチの化学誘引剤の開発等により総合的病害虫管理(IPM)に繋げ,食用きのこ栽培管理技術の発展にも寄与できる。
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