研究課題/領域番号 |
20K15581
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
西宮 攻 愛媛大学, 南予水産研究センター, 特定助教 (10824138)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | スマ / 卵黄形成 / 浮遊性卵 / ビテロジェニン / 2型Vtgシステム / Vtgプロモーター / エストロジェン応答性配列 / 繁殖生理学 / ビテロジェニン(Vtg) / 硬骨魚類 / 真骨魚類 / 卵浮遊性獲得機構 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類は、産卵様式海水中で浮く卵「浮遊性卵」を生むものが登場したことにより産卵域が広範囲に広がり、現在では多様性・資源量ともに最も繁栄する海産魚類グループが形成されたと推察される。卵の浮遊性獲得には、卵黄タンパク前駆物質であるビテロジェニン(Vtg)の主要な2種サブタイプの卵母細胞内への蓄積比率の調節が鍵となる。本研究ではこの点に着目し、免疫生化学的方法、分子生物学的手法、細胞・器官培養法等を用いて真骨魚類における卵の浮遊性獲得機構とその機構を獲得するにあたった系統進化上の経緯を明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
小型マグロ類であるスマ(Euthynnus affinis)において、成熟雌の肝臓中の3種卵黄タンパク前駆物質(ビテロジェニン;Vtg)における発現量を比較したところ、vtgAaおよびvtgAbの発現量がvtgCに比べて高かったが、両vtg間では顕著な差はなかった。一方で、vtgAaとvtgAbのプロモーター領域の配列を比較したところ、エストロジェン応答性配列様の数などに差異があった。両プロモーターはエストロジェンへの応答性にも違いがある可能性があり、卵巣の成長段階によって発現量に差異が生じる可能性がある。本研究では本種におけるvtg転写調節機構の解明に向けた基礎的な知見を得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
魚類の産卵様式は、一般的に系統分類学的に古いグループでは水に沈む「沈性卵」を生む一方、真骨魚では海水中で浮く卵「浮遊性卵」を生むものが登場した。これにより産卵域が広範囲に広がり、現在では多様性・資源量ともに最も繁栄する海産魚類グループが形成されたと推察される。浮遊性卵の形成機構は、2種の Vtgに由来する卵黄タンパク質が卵母細胞内に取り込まれた際の蓄積比率により「軽い卵」、「重い卵」の調節がなされると考えられている。しかし、その蓄積比率の調節機構は明らかになっておらず、また系統進化上この機構を獲得するにあたった経緯は未解明であり、本研究は学術・水産業の両面に有益な基礎的知見を提供するに至った。
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