研究課題/領域番号 |
20K15639
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 鳥取大学 (2022-2023) 東京農業大学 (2020-2021) |
研究代表者 |
山崎 由理 鳥取大学, 農学部, 准教授 (00826696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 林間放牧 / 環境保全型農業 / NDVI / 飼料成分 / 窒素安定同位体比 / 粗タンパク質 / 可消化養分総量 / 生態系サービス / 植生調査 / 土壌分析 / センサーカメラ / 行動調査 / シナジー・トレードオフ |
研究開始時の研究の概要 |
「林間放牧」は,育林作業の省力化や低コスト肉牛生産,アニマルウェルフェアの観点から評価されているものの自然環境への影響や生態系サービスの機能に関する報告は非常に少ない。林間放牧では,シカなどの大型野生動物による森林生態系への被害と類似した負の影響(トレードオフ)が予想される一方,放牧牛による適度な攪乱が森林の生態系サービスをサポート・促進する正の影響(シナジー)をもつ可能性も考えられる。ここでは,北海道日高地域の周年林間放牧について,①放牧地,②林間,③放牧管理方法,④水系のそれぞれにおける生態系サービス間のシナジー・トレードオフの関係を明らかにする。
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研究成果の概要 |
周年林間放牧で肉牛を生産しているK牧場を対象に,放牧地の牧草のNDVIおよび飼料の成分分析を行った。 放牧地のNDVIの平均値は6月および8月に0.59~0.87を示した。放牧地では,放牧牛の採食や雑草の侵入により放牧地内のNDVIの分布にばらつきが見られたが,牛が放牧地を移動し,採食の影響を受けない一定期間が存在することで、植生が回復している様子が確認された。また,K牧場の放牧地および採草地の飼料成分結果から,粗たんぱく質や可消化養分総量は一般的な放牧草と比較して良好であり,K牧場の林間放牧では粗放的な管理でありながら,放牧地全体の牧草品質や生育状態を良好に維持していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
放牧地および森林を利用して家畜を生産する林間放牧は,日本における家畜飼料の輸入依存を解消し,畜産物の自給率向上に資するだけでなく,自然と共存する農業を実現する古くて新しい管理技術である。本研究では,周年林間放牧による肉牛生産で有機畜産JASの認証を受けているK牧場を対象に,化学肥料や農薬を使用せず,かつ放牧地の牧草だけで肉牛生産を可能とする管理方法について,放牧地の植生の状態や飼料成分,放牧牛の行動実態,放牧地を流れる河川の水質への影響などの複数の視点から網羅的に調査したものである。本研究の成果は,日本国内における放牧畜産の普及促進に向けた基礎資料となることが期待できる。
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