研究課題/領域番号 |
20K15640
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研究種目 |
若手研究
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 弘前大学 (2022) 国立研究開発法人国立環境研究所 (2020-2021) |
研究代表者 |
橋本 洸哉 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (90832436)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 農薬の生態影響評価 / 生物間相互作用 / 人工生態系 / 非線形時系列解析(EDM) / 水田生態系 / 非線形時系列解析(EDM) / EDM |
研究開始時の研究の概要 |
農薬は生物に直接的に作用して殺すだけではなく、その影響は生物間相互作用を介して連鎖的に生物群集内に波及していく。しかし、相互作用の強度(強さや正負)は農薬曝露前後で必ずしも一定ではないため、農薬が群集に与える波及効果を予測するのは困難と思われてきた。Empirical Dynamic Modeling(EDM)は、最近になって登場した新規の解析手法であり、生物密度の時系列データのみから生物間の相互作用強度を算出することができる。本申請課題は、EDMによって農薬曝露後の人工生態系群集内における相互作用強度の変化をとらえ、農薬の生物群集への影響について、精度の高い予測を試みるものである。
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研究実績の概要 |
農薬施用は、標的となる病害虫や雑草の制御が目的であるが、多くの種が存在する実環境下では時として、標的以外の生物の減少や別の病害虫の増加といった思いもよらない結果をもたらす。本研究では「農薬が群集に与える影響の予測困難性は、生物間の相互作用の可変性がもたらしている」という仮説に基づき、農薬が生物多様性に与える影響の予測精度を、相互作用強度の変化を考慮することによって高めることを目的としている。そのために、以下の項目の研究を行うことを予定している。(1)農薬曝露による水田生物間相互作用強度の変化の検出、(2)農薬曝露後の相互作用強度の変化を考慮した農薬の影響予測。令和2年度には、既存の水田メソコズム実験の時系列データを用い、農薬曝露後の水田生物間相互作用強度の変化の検出に成功した。令和3年度には、項目2である農薬の影響予測に向けて、生物間相互作用強度の変化について更に詳細に解析を進め、「農薬が群集に与える影響の予測困難性は、生物間の相互作用の可変性がもたらしている」という仮説を指示する結果を得た。令和4年度は、前年度までの成果を論文としてまとめ、国際誌への掲載を目指した。また、査読コメントへの対応の一環として、集団あたり相互作用強度ではなく個体あたりの相互作用強度の算出を目指し、これまでの方法の改良を進めた。これについては、3栄養段階のfood-chainモデルでのシミュレーションデータを用いた予備解析で良好な結果が得られた。令和5年4月時点で、査読コメントへの対応中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題(2)「農薬曝露後の相互作用強度の変化を考慮した農薬の影響予測」の前段階である、相互作用強度と農薬影響との相互関係の成果のまとめについて、査読時に指摘された点である「EDMで算出される相互作用強度と、群集生態学の理論との対応関係」の改善が十分に達成されたとはいえず、解決策を探っている最中である。
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今後の研究の推進方策 |
「EDMで算出される相互作用強度と、群集生態学の理論との対応の改善」について、これまでの方法に改良を加え、集団あたり相互作用強度ではなく個体あたりの相互作用強度の算出を目指し、前年度までのデータを解析する予定である。現在までに、3栄養段階のfood-chainモデルでのシミュレーションデータを用いた予備解析で良好な結果が得られており、これを実測データに適用することによって、前年までの課題の克服を目指す。
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